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初めての4技能

英語にまつわる議論は総論賛成、各論反対になりやすい

2017.03.21

連載:今さら聞けない、英語4技能って何?

第6回: 英語にまつわる議論は総論賛成、各論反対になりやすい

連載第六回

日本人が最初に外国語を意識するようになってから1,500年くらいの時間が過ぎましたが、日本人と外国語の関係は基本的な部分では大きな変化はなかったと言ってもよいでしょう。しかし、ここ10数年の間に、環境は大きく変わろうとしています。日本人が外国語とどうつきあうべきかについて、初めて国民全体の問題となっているからです。

中には「英語不要論」を唱える人もいますが、「使える英語力」の必要性はもはや当然のこととなっています。つまり、「総論」について反対意見は少ないのが現在の状況です。ところが、そのような英語力を身につける方法についての考え方、つまり「各論」については関係者や専門家の間でも意見に大きな違いが見られます。

その中でも、「大学教育の改革」と「大学入試の改革」が必要条件になるという意見が強いようです。学校と社会との接点になるのが卒業ですが、卒業時に確かな学習成果を保証できるような教育内容と評価制度を大学が確立すること。また、大学以前の学校教育の内容やレベルに大きな影響力をもつ大学入試でも、英語の4技能をしっかり試す試験(*1)にしなければ、英語教育全体が目指すようなものに変わっていかないという意見です。

*1 大学入試で課す4技能試験については、「国際的な通用性」が保証される世界標準としてのTOEFLが最適だという意見が経済界では多い。「産業競争力会議」や「英語教育の在り方に関する有識者会議」のメンバーであった楽天の三木谷会長などが最たる主張者。

一方TOEFL iBT(*2)や、日本ではより多くの受験者がいるTOEIC(*3)の高得点者が必ずしも「英語を使いきれていない」と指摘する英語の専門家もいます。

*2 TOEFL(Test of English as a Foreign Languageの略):英語圏以外で育った人が高等教育機関で学修できる英語力を有しているかどうかを調べる試験。アメリカ合衆国などで大学入試に活用されている。

*3 TOEIC(Test of English for International Communicationの略):英語を母語としない人を対象とした、英語によるコミュニケーション能力を調べる試験。主に、ビジネス関係で活用されている。

また、英語教育ばかりが先行していることに対しては、日本人の言語能力の基盤となる国語教育こそ重視すべきではないかといった反論(*4)もあります。

*4 日本学術会議の提言「ことばに対する能動的態度を育てる取り組み-初等中等教育における英語教育の発展のために-」(2016.11.4)など。

現在、高校までの学校教育の内容を定める次の学習指導要領(*5)や新しい大学入試の試験システム(*6)などが検討されていますが、このように各論で大きな意見の違いがあるために、具体的な内容や方法がなかなか決まらないのが現状です。

*5 次期学習指導要領は、2020年度に小学校から順次施行される予定。

*6 現在の「大学入試センター試験」に代わる新しい試験である「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」が2020年から実施される(予定)のを機に、現在の入試システムを全体として見直していく動きがある。

新しい英語教育についてはまだはっきりしないことも多いのですが、大学入試については既に変化が出始めています。現在、多くの私立大学では推薦入試(*7)やAO入試(*8)だけでなく、一般入試でも各種の外部試験(*9)を選抜方法のひとつとして採用しています。

*7 推薦入試:本来は出身高校の校長が在学中の成績などをもとに大学に対して生徒を推薦する入試方法だが、近年は校長の推薦を必要としない「自己推薦」なども多く実施されている。

*8 AO入試:もともとはアメリカ合衆国で行われているAO(Admission Office=大学の入試事務室)による面接・観察を重視した丁寧な選抜方法であるが、日本では一般入試とは別枠で、意欲や在学中の活動成果を評価する選抜方法のひとつとして広く実施されている。

*9 現在大学入試に活用されている主な外部試験としては、実用英語能力検定試験(英検)、TEAP、GTEC、TOEFL、TOEIC、IELTS、ケンブリッジ英検などがある。

また一部の国公立大学では、主に推薦やAO入試の一部で採用するようになっています。日本では大学入試がそれ以前の学校教育に大きな影響を及ぼすことを考えますと、カギとなる大学入試が4技能に向かって先に動き出していることは、日本の教育全体にとっても少なからず意味のあることです。

ただし、この流れが今後本格化するのか、そしてそれが大学入試の基本形にまでなることができるのかどうかについては、現在の大学入試センター試験の後継となる「大学入学希望者学力評価テスト」(仮称、以下「新テスト」)で、英語の試験がどのようなものになるかにかかっているといえるでしょう。

大学入試センター試験は、毎年50万人前後が受験する日本で最大規模の選抜試験です。すべての国公立大学と私立大学の約9割が活用する、日本の大学入試のスタンダードと言える試験です。

文科省は2020年から開始となる「新テスト」においても、「英語については、ライティングやスピーキングを含む4技能を重視して評価する方向で検討」するとしていますが、2017年度中に発表する予定の「実施方針」(各教科の試験をどのような内容や形式で実施するのかを示した方針)を検討する各教科の作業部会が活動を始めたというのに、英語の部会だけがまだ組織されていません。「外部試験の活用も検討」するという発表が以前にありましたので、大学入試センターは英語の試験を自分で作ることをあきらめたのではないか、という推測もできます。

かと言って、大学入試で4技能を試すという方針は、いまさら引き返すことはできないでしょう。したがって、センターが自作するのか外部試験を活用するのかはまだわかりませんが、2020年が大学入試の英語や、日本の英語教育にとってひとつの大きな曲がり角になる可能性は十分あります。

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