前回は4技能のうち、「聞くこと」のパートについて見ました。今回は「読むこと」のパートを分析してみましょう。
「読むこと」のパートでは、「総合的に活用して思考・判断・表現する力」として、以下のイメージが事前に示されていました。
・英文や英語で書かれた簡単な資料を読み、必要な情報を引き出したり、概要や要点を把握したりする力
「読むこと」で特徴的なことは、多様な情報を取り上げている点です。
問題例
内容が一致した選択肢を「すべて」選ぶ問題
[5]（3）次の表はある学級の時間割です。時間割の内容と合っている英文を，右の1から5までの中から全て選びなさい。
※×は筆者による。
1. The students have ×five classes on Monday and Wednesday. They have six classes on the other days.
2. On Friday, the students study math and science, but they don’t study Japanese.
3. The students have four English classes in a week. They have ×four P.E. classes, too.
4. The students have a music class on Wednesday morning.
5. The students ×don’t study fine arts on Thursday. They study it on Tuesday.
《正解》2, 4
この問題は、英文と表の内容を比べて内容が一致した選択肢を「すべて」選ぶ問題です。（選択肢の×部分が表の内容と一致していません）問題文中で扱われる情報資料としては表の他に、スライドやWebページなどがあります。
多様な情報を素材に取り上げたり、正しいものすべてを答えるといった問題形式は2020年度から始まる大学入試のための新しい試験である「大学入学共通テスト」でもみられる新傾向であり、日本の教育が中学から大学入試まで同じ方向に向かっていることを示しています。
技能統合的な出題
また、「読むこと」のパートにおいても技能統合的な出題が見られます。
[８] 次の英文は，英字新聞に投稿されたある中学生からの意見です。これを読んで、この生徒に向けてあなた自身の考えとその理由を英語で書きなさい。
These days, taking pictures and video is getting easier. Which do you often use to remember good times, pictures or video? I usually take video to remember good times. I think that video is better than pictures because it has sound. What do you think?
《解答例》 I have a different idea. I like pictures better. We can send pictures faster than video.
この問題では、投稿者の中学生が「思い出を残すときには、自分はいつもビデオを使う。音も記録できるから写真よりもビデオの方がいい。」と主張していることを読み取り、それに対して自分の意見とその理由を英語で書くことが求められています。
このように「読むこと」のパートでは、「英語を日本語に置き換える力」という発想ではなく、日常的で多様な情報の中から必要な情報を読み取り、その意味するところを過不足なく把握したり、それにもとづいて自分の考えをまとめ、表現できる複数の英語技能を統合した、より高次の「処理能力」が試されます。
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