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教育者インタビュー

米Appleを経て英語学校を創立 松井博の「英語4技能の習得に必要なもの」

2015.09.24

今回は過去にApple本社での勤務経験があり、現在セブ島で英語学校『ブライチャー(Brighture English Academy)』を経営されている松井博さんに、英語4技能教育についてお話をお伺いしました。

アメリカ本土の方にさえ「え?!ネイティブなの?」と間違われるくらいに、英語を自在に操る松井さんですが、そこに至るまでの苦労話や経験談を語っていただきました。

松井さんの英語学習経験から日本の英語教育への思いには、私たち日本人が英語を学ぶ上で、ヒントとなりうる情報がいっぱいです。

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もとは不良だった?型破りな経歴を持つ松井さんの英語学習経験に迫る

中学生で初めて英語に触れた頃、英文科出身の母親に言われて、英語の教科書をひたすら丸暗記したんです。この丸暗記が、後々効いてきました

TOEICが満点でも、ネイティブなみに英語が堪能であっても、自分の英語はまだまだとおっしゃる松井さん。
どんな立派なルーツをお持ちなのかと探りはじめると、なんと勉強はできない方だったといいます。

「高校のころはちょっとグレていて、補導されたこともありました。勉強なんて全くしてませんでした。やがてにっちもさっちもいかなくなって、交換留学生の募集に応募してみたんです。そうしたら、何か事務手続きの間違いだったとしか思えないけど、合格しちゃったんですよね。これはまずいことになったって、焦りました」

なるほど、それじゃあ留学することになって、英語を本気で勉強し始めたんですね。

「いや、それが、アメリカ行きは決まったんだけど、それでもやっぱり勉強しなかったんです。そのまま渡航して、案の定、最初のうちは苦労しました。今みたいにインターネットなんて無いし、国際電話も高額だから、助けを求めることもできなくって、英語を話せないことが急に死活問題に発展したんです」

日本人は英語で会話するとき、日本語で内容を考えてから英語に翻訳して話す、そして英語の返答を聞き取って、それを日本語に翻訳して…という翻訳グセがあるせいで、英語を上手く話すことが出来ないと指摘する松井さん。この交換留学で投げ込まれた環境のおかげで、自身の翻訳グセが克服されたと振り返っています。

「田舎の学校で外国人がとてもめずらしい環境だったから、 『う~、あ~』とか言って英語を翻訳しているうちに、『コイツは英語が喋れない』と思われてしまい、相手にされなくなるんです。なんとか興味を持続させるために、翻訳せず、英語を英語のまま、さっさと話す必要があった。中学のときに何も考えないで、日本語をかませず丸暗記していたことが活きて、ふつうの日本人よりも適応する時間は短かったような気がします」

こうして交換留学を終え帰国した松井さんは、「英語で、理系の勉強がしたい」という思いを胸に、海外大学への進学を決意します。

「起きてる時間の半分以上は英語を勉強していました。他の教科は全く勉強してなかった。勉強に使ったのは、洋書に単語帳、TOEFLの問題集だけで、すごくシンプルだったと思うけど効果は十分でした」

他の教科は勉強していなかったと言う松井さんですが、英語を勉強していくうちに、学習の仕方そのものを習得し、不思議と他の教科の成績も上がったと言います。やがて、日本の大学にも進学出来るくらい学力を身に付けたそうですが、初志貫徹ということで、海外大学への進学を果たします。

念願の海外大学へ進学!でも英語の伸びしろは、まだまだあった

高校での留学経験が活きて、大学ではかなり快適に過ごすことができたのかと問うと、松井さんは首を横に振りました。

「書く訓練を全くしていなかったから、かなり苦労しました。レポートやエッセイが課題として大量に出されて。でも留学したからにはやり抜きたいという想いから、文章を添削してくれる大学内の施設に通い詰めました。ここで、英語を書く力がだいぶ伸びましたね」

英語でのコミュニケーション力や書く力を伸ばした松井さんは帰国後、日系メーカーに就職しました。しかし、アメリカに馴染みすぎたせいか会社の雰囲気を窮屈に感じてしまい、職を転々としていたといいます。そんな中で出会った仕事が、Apple Japanの派遣社員の仕事だったそうです。

「海外とのやりとりが多いし、スタッフも外国の方がたくさんいたから、とにかく英語でコミュニケーションする環境で、久しぶりに英語を使えて楽しかったです。大学のころに英語力はもちろん武器になったけど、今度はビジネス英語を学ぶきっかけになって、さらに勉強を重ねました。特に文書を書く力は、ここでも伸びました。」

英語をある程度自在に操る力を身に付けた松井さんは、以前から誘いを受けていたアメリカのApple本社への異動を決意します。ここでの仕事は、やりがいも大きい一方、かなりハードなものだったと言います。

「管理職として現地の社員へ指示を出す立場になったことで、また新たに、人を使うための英語を勉強する必要が生じました。外国人だからっていう甘えは一切許されないし、レポートを提出したらスティーブ・ジョブズまで届いちゃうような環境だったから、英語にはさらに磨きがかかりました」

英語教育への思いと熱意を胸に、英語学校Brightureの設立へ

松井博さん2

英語をバリバリ使い、Apple製品を世界中に送り出しながらも、次第に社内政治に嫌気がさして、Apple本社を退職した松井さん。その後は奥さんと保育園を始めたり、執筆活動に励んだりして過ごしたといいます。

そして、そろそろ何か新しいことを始めたいと思って設立したのが、今年6月に開校した英語学校ブライチャー(Brighture)でした。この学校設立には、日本の英語教育への複雑な思いと、教育が好きという松井さんの熱意が隠されていました。

「Apple本社に勤めていたころ、他の駐在している日本人に英語を教えていたことがあったんです。そのとき、日本の英語教育はなにか根本的に間違ってるなと、なんども思いました。正しい発音を教えないから、ローマ字やカタカナ英語に縛られて変な発音してる。和訳中心の英語の授業のせいで、頭の中で翻訳する癖がついちゃって、英語を話すのに時間がかかる。日本の英語教育について思うところはたくさんあります」

そんな日本の教育への疑問と、ご自身の英語学習経験を踏まえ、奥さんとお子さんには松井さん流で英語を学ばせたと言います。これがまた大成功したんだそうです。そんな松井さん流の英語学習法とは?

「まずフォニックスですね。初めて知ったときは、こんな画期的な発音の教え方があったのかと衝撃でした。あとは、日本語をかませず英語は英語のまま覚えること。英語の単語帳の裏には、日本語ではなく絵を描かせました。そして、とにかくたくさん書いて、読むこと。奥さんも子どももあっという間に話せるようになりました。これは、やり方だなって思いました。やり方次第で日本の大人の英語を変えられるって。僕は政府の偉い人ではないので、日本の英語教育を変えることは出来ないけど、自分が変えられる範囲で英語教育を変えたいと思ったのも、ブライチャー設立のきっかけの1つです」

松井さんの知見が詰まったブライチャー。気になるコンセプトとカリキュラムは?

「僕たちのコンセプトは『スパイラルラーニング』です。『憶える→浸る→使う』を繰り返すというシンプルなものですが、英語学習におけるエッセンスを過不足なく詰め込んでいます。

まず重要なのは『憶える』こと。これは日本語でも一緒だけど、単語が頭に入っていなければ、読めないし、聞けないし、ましてや話すことも書くことも出来ないですよね。英語学習は半分以上、暗記です。

そうして憶えたら、『浸る』。これをする手段は日本にもたくさんあります。洋書、ラジオ、ニュース、YouTube・・・何でもいいんです。とにかく英語に『浸る』ことで、1つの単語が多様な文脈で使われる場面に遭遇してほしいですね。このプロセスの重要性は、子どもを見ていると分かります。子どもは何か新しい言葉を憶えてもすぐには使わないで、色々な場面で遭遇するその単語の例文をためていくんです。そうしてある日使い始める。英語でも同じプロセスを辿ればいいんです。」

なるほど、松井さんの英語学習経験にしっかりと基づいたコンセプトになっているようです。カリキュラムとしては、どんな学習が組み込まれているのでしょうか?

「ブライチャーでは、まず発音を根本から教えています。これは最も好評を得ているカリキュラムです。日本人をカタカナ英語の呪縛から解放すべく、徹底的に直します。日本語は子音の後に必ず母音がつくから、英語を話すときでもそうやって発音しようとするし、細かい発音の仕方は分からないのに、英語風に話そうとして、ちょっと巻き舌風に発音したりするから、変なところにRの音を入れる。これじゃ何を言ってるのか分からないですよ。この発音のやり方を改善するんです。

あとは、ブライチャーは基本的にマンツーマンレッスンだけど、日本人に馴染みにくい『英語のモノのの捉え方』については集団授業があります。例えば、可算名詞、不可算名詞、冠詞、時制など。英語独特の物事の捉え方についてはグループで教えています。

加えて、必ず週1でプレゼンテーションしてもらっています。テーマは自由なんですけど、これは、1人1人の英語の総合力が露わになりますね。なかなか面白いですよ。

入学したからには全てのカリキュラムに徹底して取り組んでほしいです。これはやりたいけど、それはやりたくないっていう人は、他の学校に行ってくれという考えです」

英語4技能習得のポイントは、3つ。そしてそのコツは、1つ。

松井博さん3

英語について熱い思いをお持ちの松井さんですが、英語4技能についてはどうお考えですか?

「英語4技能の習得に大切なことは、3つあると思います。

1つ目は、正しい発音を身に付けること。正確な発音が分かるだけで、今まで聞きとれなかった単語が聞こえるようになるし、話すときも通じる。そもそも格好いいでしょ。

2つ目は、英語のモノの考え方を理解すること。例えば、時間軸の捉え方やsentenceの構成、文章全体の構成とか。時間軸でいえば、完了形は英語独特の考え方だから1から理解しなければならないし、主語を必ず先頭にして構成されるという特徴とか、結論を先に持ってくる文章構成とかも英語のモノの考え方として理解しなければならない。

最後に3つ目は、とにかく量をこなすこと。呼吸するのと同じように、英語を身に付けるための努力を習慣化する。朝起きたら英語のラジオを聞くとか。僕だって、英語が話せるようになって30年経つけど、今でもずっと続けています」

4技能を習得するには、どうすれば良いのでしょうか?

「さっきもお話したスパイラルラーニングは有効だと思う。『憶える(暗記)→浸る(Reading、Listening)→使う(Writing、Speaking)』」を繰り返していくこと。がむしゃらに勉強して、突然パッとやめちゃうのはもったいないです。毎朝顔を洗うように、当たり前のこととして、英語を勉強すること。これが習得化のコツです。そして、ある程度英語ができるようになったら、”英語を学ぶ”から”英語で学ぶ”に移行すること。英語で何か習い事を始めたりするのは有効だと思う。英語をツールとして使うことで、さらに自分の能力に足りないところがみえてくるので、それをまた埋めるように勉強する。この繰り返しです。」

大切なのは、しつこさ

松井さんのお話を聞いていると、松井さんは相当な完璧主義者で、負けず嫌いなのかな、という印象を持ったのですが、いかがでしょうか?

「ん~いや、そうでもないですよ。 ただね、僕はしつこいんです。だから、別に地頭がいいわけじゃないけど、しつこく続けているうちに人よりもできるようになったんです。合気道も、コンピュータもそうだったし、英語もそう。何をするにも、しつこさは重要だと、皆さんにも伝えたいですね。」

中高生時代から現在に至るまでの英語学習経験、日本の英語教育への思い、ブライチャーのコンセプトを、大いに語っていただきました。松井さんのお話には、私たちが英語を勉強するにあたってヒントとなりうる情報が満載だったと思います。影響されやすい筆者も正しい発音を身に付けるべく、さっそくフォニックスの教科書を購入しました。松井さんのしつこさという、生きる上で1つの指針となりうるような教訓も教えていただき、学ぶところの大変多いインタビューでした。

 

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