英検®︎準2級はとにかく暗記!?代々木ゼミナール講師が語る対策法

代々木ゼミナールで英語を指導する齋藤直孝講師に、英検を受験する生徒の指導法について伺いました。英語指導者の方に向けに、現在の英語4技能試験に対する生徒の実力、生徒のモチベーションの上げ方、そして指導力を上げるためのノウハウについて詳しくお聞きしていきます。

英検の指導に不安を抱えている方、指導力向上を目指している方、英語教育に携わっている方は必見です!

齋藤直孝 講師

代々木ゼミナール本部校、立川北口受験プラザ、新潟校、名古屋校で教壇に立ち、英語を担当しています。

現在の英語4技能試験に対する生徒の実力をどう見ていますか?

スピーキング・ライティングに関しては、リーディング・リスニングよりも圧倒的に苦手としている生徒が多いのが現状です。そんな中、最近は学校で音読を徹底して行っているので、音読の効果は出てきています。たとえば英検準2級の面接で問題カードの音読は、昔に比べて格段にうまくこなせるようになってきているでしょう。

しかし、読むことはできても、自分でゼロからアウトプットする力はまだついていないという感覚があります。「自分の意見を英語で言う」というスピーキング力がまだまだ乏しいということは、今も昔も変わらずにある課題点です。英検で実際に使える単語やフレーズを、使う場面を想定しながら覚えさせてあげれば、生徒の英語力はより上がっていくと思います。

英検®️の必要性を生徒に伝える際に、効果的なアプローチ方法はありますか?

日本にいる限り英語を使わなくても生活ができるので、非常に難しい質問です。モチベーションを上げる過程で「大学入試や英検のために、英語を勉強しよう!」と伝えたら、英語に苦手意識を持っている生徒は勉強しなくなるでしょう。順番を逆にして、試験以外を理由にモチベーションを高めた生徒が、自分の英語力を測るために英検を使う方がベターです。

まずは先生自身が「英語ができることによって、今までどんな経験ができたのか」自分の経験や英語に対する情熱を生徒に伝えてみてください。

今の時代は外国の方とやり取りができるツールも多くありますし、興味がありそうな生徒には海外ボランティアや、大学が主催している国際交流イベントなどを勧めてみても良いでしょう。仮にそこで「何も聞き取れず沈黙になってしまった」という思いをしたとしても、それが英語を頑張りたいと思うきっかけになることもあります。

全ての生徒のモチベーションを1度に上げる方法はないと思うので、生徒1人ひとりに合った刺激の与え方を考えることを、私も心がけています。

検®︎の指導力向上のために第一にすべきことは何ですか?

教師も英語力が完璧なわけではないので、英検の指導をしながら、自分の英語力をアップさせることは欠かせません。私も英語力を伸ばすのに苦労しましたが、試行錯誤しながら少しずつ自分の勉強スタイルを作っていきました。中でも大切だと感じたのは、暗記から始めることです。

スピーキング力を伸ばそうと思っても、そもそも知らない英単語を言うことはできません。日常で使える単語やフレーズを暗記する際に、実際に状況をイメージしながら繰り返し練習をすることを心がけました。最初は単語レベル、それから句レベル、節レベル、そして文章レベルで覚えていきました。

指導する上でも、生徒の英語力を上げるためには、暗記する時間を取らせてあげることが大切です。

多くの生徒が苦手としているライティング・スピーキングの力も、暗記によって伸ばせます。ライティング・スピーキングはアウトプットとして共通する部分が多いため、ライティング対策としてフレーズを暗記すれば、いずれスピーキング力の向上にも繋がってきます。

初めて英検®︎準2級を受験する生徒には、どのように指導するべきですか?

まず最初に過去問を見せて、どういった問題が出るか教え、心の準備をさせてあげましょう。始める時期としては、1ヶ月前からでも間に合います。問題を踏まえ、自分に今何が足りないのか、どんな力が必要なのか、を教えてあげることが大切です。

英単語対策について

準2級のリーディングに関しては、とにかく語彙力が大切です。基本的な語彙の知識を身につけさせるために、単語帳を用いて語彙を覚えさせてください。

受験で点数が取れる人とそうでない人の最大の違いは、語彙力です。読み方・解き方・推測の仕方は当然伝授しますが、多くの単語がわからなければ、推測するにも限界があります。語彙力はもちろん単語帳からも習得できますが、英文からも多くの語彙が学べます。ひとつの長文からもできるだけのことを吸収してもらえるように、音読で何度か読み返すよう指導しています

リスニング対策について

リスニングは過去問を解かせて、まずは聞き取ることに慣れさせましょう。スクリプトの音読や、暗記をさせてからもう一度リスニングさせたり、発音の指導も併せて行うと効果的です。

スピーキング対策について

スピーキングは、先ほども述べた、英検で使えるフレーズを暗記させるところから始めてください。生徒には問題集の模範解答を覚えなさいといつも指導しています。模範解答では英作文の型(テンプレート)が決まっているので、初学習者はそれを覚えて使用するのが一番良いでしょう。

オススメ教材について

オススメはアルクが出版している『起きてから寝るまでの英語表現1000』です。基本的な動作を英語で覚えられます。パターンとしては英検を受けると決めてからまず教材の中の表現を覚え、2週間程度前からは英作文の練習をします。

学校や塾の指導で実践できることを教えてください。

身の回りの動作を英語に直すことでしょうか。絵を見せて英語にさせるのもアリです。しかし、それも基本はまず先生が単語力・表現力を上げなければなりません。生徒の成長は先生の成長と一体だということです。

生徒が家でもできる英語学習法を教えてください。

映画や教材を使ってネイティブの真似をすることです。人の真似をすることはとても効果的です。日本生まれ日本育ちで、英語が流暢に話せるようになった方に話を聞いてみると、好きな役者の真似をしたとか、周りの英語が話せる人の真似をしたという人が多いです。

英語がネイティブでありながら、たった2年間で日本語が流暢に話せるようになった方がいました。その方は好きなドラマから日常生活で使えそうなセリフを覚え、覚えたフレーズをそのまま使っていると言っていました。自分の生活に関係するシーンが多ければ、より自然にフレーズを覚えることができますね。

英検対策でも、問題に出てくるようなシチュエーションをイメージしながら暗記すれば、効率よく英語力を伸ばすことができるでしょう。

英単語学習の工夫について

単語帳は英検のためにわざわざ買う必要はなく、学校で使っている基本の単語帳で充分対応できます。その際、CDやスマホのアプリを使って、音を聞いて発音しながら覚えることをさせましょう。発音できない単語は、質問されたときに聞き取れないからです。聞いて発音して覚えている生徒とそうでない生徒の差は明らかです。

知らない単語を見つけたら、常に同じ色のマーカーを引くなどの工夫で、復習しやすくなります。単語は色々な場面で触れるようにしないと、なかなか覚えるのが難しいです。毎日10問でも20問でも、単語のテストをすることは有効な指導です。

文法学習の工夫について

文法に関しても、学校の教科書がベースになってきます。英検のために改めて文法を学習する必要はないので、学校の授業を集中して聞いて覚えてもらい、定期的に確認テストを行うのが1番良いでしょう。大切なのは、勉強する子が少しでも増えるように、チャンスをたくさん与えてあげることです。

最後に、英語指導者として今後目標にしていることを教えてください。

1人でも多くの生徒のモチベーションを上げるために、まずは自分の英語力(特にライティング力)を上げていきたいです。ライティング力を上げることで添削力を伸ばすことができますし、自然な英語が身につき、スピーキング指導にも活かすことができます。

また、コミュニケーション力を意識した指導も目標としています。生徒のモチベーションを高め、生徒が将来英語を使ってコミュニケーションができるような、そんな指導をしていけたらと思っています。

※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

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