新課程大学入試への動き(前編)中学入試で英語採用が増える理由

現在の学習指導要領が変わり、「新課程入試」になるのをご存知ですか?

学校で学ぶ内容を定めている学習指導要領は、ほぼ10年ごとに改定されます。新しい学習指導要領を「新課程」と呼びます。新課程入試とは、改定後の新学習指導要領にもとづいて行なわれる入試のことです。

小学校が新課程に移行するのは2020年度からにも関わらず、中学入試では新課程大学入試に呼応する動きがすでに始まっているのです。その証左として、首都圏私立中学入試で英語採用が増えていることが挙げられます。

2回に分けてお送りする「新課程大学入試への動き」前編となる本記事は、「私立中学入試の英語の変化」について紹介します。


中学入試が大学入試レベル?!

今年の首都圏私立中学入試で話題となったもののひとつに、慶應義塾大学湘南藤沢中等部の英語選択入試があります。同校ではこれまでも英語の力を活用した入試を実施していましたが、2019年度からは正式な教科名として英語を選択できる入試にしました。

【慶應義塾大学湘南藤沢中等部の英語選択入試の特徴】

・内容は英検2級~準1級程度のレベル

・ペーパーテストに加え、リスニングも課す

では英検2級とは、どんなレベルの英語力でしょうか。文部科学省は現在の中学および高校卒業時の英語力の到達目標として、

中学で英検3級程度
高校で英検準2級~2級程度

の生徒が概ね半数いることを目安としています。ということは、慶大湘南藤沢中等部が示した英語試験(英検2級~準1級程度のレベル)では、高校卒業程度の英語力が求められることを意味しています。小学6年生ですでに大学入試レベルの英語力が必要になるということです。


首都圏私立中学入試では英語採用が増加中

近年、首都圏の私立中学では入試に英語を採用する学校が増加しています。その選抜方法は、

4科型:国語・算数・理科・社会(多くの学校が4科型を採用)

2科型:国語・算数

英語選択型:英語+国語or英語+算数が主

から、いずれかの型を受験者が選べる形が一般的ですが、一部の学校では英語を必須受験にしています。英語を必須とするのは女子校や国際系(帰国生・インターナショナルスクール生対象)のコースを持つ学校が中心ですが、東京都市大付属や広尾学園など、大学入試で実績のある学校も含まれます。このように徐々に広がりを見せてきた中学入試への英語の採用は、慶大湘南藤沢中等部の動きに触発されて今後急速に拡大する可能性があります。

中学入試への英語の採用が拡大する可能性がある根拠は、有名中学で英語が採用されるようになったという点に限りません。実は、この変化はさらに大きな動きの一部とも考えられるからです。


新課程で難しくなる英語

英語教育に関しては、すでに小学校では5・6年生を対象とした「外国語活動」という形で早期教育が始まっていること、さらに2020年度からはこの「外国語活動」の対象が3・4年生に下がり、5・6年生では正式な教科としての「英語」に変わることは、すでに下記のコラムでお伝えしたとおりです。

【高校の英語が変わる】第2回〜英語教育はどう変わるのか〜

この教育課程の改定によって、従来中学校で扱っていた英語の内容の一部が小学校に、高校で扱っていた内容の一部が中学校にそれぞれ移ることになります。下の図は、現行課程(旧課程)と新課程で学ぶ英語のレベルを比較したイメージです。

新課程に移行した後は、中学や高校で学ぶ内容が現在に比べかなり高度化することになります。考えておかなければならないのは、中学の先には高校受験が、高校の先には大学受験が控えていて、それぞれの入試では高度化した内容にもとづいた試験が課されるという点です。


まとめ

「新課程大学入試への動き」前編では、私立中学入試の英語に変化のきざしが見られる背景に、日本の英語教育全体の変化があることをお話ししました。後編では、この変化がさらに数年後の大学入試改革に直結していることについて、ご説明します。

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