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4技能が融合した新しい英語教育を目指す!革新を続ける駒込中学・高等学校を取材

2015.10.22

駒込学園駒込中学校・高等学校では、来年度より中学に「スーパー・アドバンス・イングリッシュコース」、高校に「国際教養コース」を創設します。またiPadを使ったICT教育も徐々に導入していく予定です。中高一貫校という特色を生かし、革新的な教育を進める駒込学園の英語教育に関する理念や今後の目標について、駒込学園国際部長の久保昌央先生にお話を伺いました。

駒込学園校門

現在の取り組み

海外留学制度は受験のためではない

現在、我が校では、英語研修として中高の希望者に海外留学プログラムを提供しています。中学生は、今年度より中3を対象に、これまで学習してきた英語の総決算としてセブ島にある語学学校で1週間の短期語学研修を実施します。1限から6限までマンツーマンの語学集中トレーニングを続けることにより、子どもたちは語学力だけではなく、自信と自発性を身につけることができると考えています。

高校生はオーストラリアとニュージーランドへの中期・長期留学をするチャンスがあります。これは中期3ヶ月または長期1年間のプログラムです。

こうした語学研修や留学プログラムの目的というと、大体皆さんは「英語ができるようになるから大学受験のときに有利になる」ということをおっしゃりますが、私は留学のメリットは別のところにあると思っています。

まず、中学生や高校生の多感な時期に海外文化を経験することはとても大切なことだと思います。異文化に触れて、自分の考えを内部から揺さぶられる感覚を体験することができます。大学生になるともう自分の考え方は固まってきてしまいますが、中学生や高校生の若者はまだ価値観や世界観が完全に出来あがっていません。その多感な時期に自文化と異なるルールに触れること、日本という国を客観的に見ることは、生徒の将来にとって大きな財産となると信じています。ですから私は保護者の皆さんには「高校留学は大学受験にとってはデメリットの面があるかもしれないが、生徒たちの10年、15年先の将来を見たときに、この留学によって、生徒たちが他人とは違うユニークな視点を持ち、多角的にものごとを分析できる眼を持つという大きなメリットを得ることができるようになります。」と説明しています。

駒込学園インタビュー1

生徒同士だけではなく、先生と生徒も仲がいいという駒込学園。扉を常に開放している職員室の中は、質問に来る生徒であふれ返っていた。

伝統的な文法最重要視の英語教育を変えるためには

高校の英語教育に関しての一番の問題は、やはり文法を最重要視する「細部完璧主義的」な英語教育にあると思います。私の個人的な考え方ですが、生徒たちは間違うことが自分の汚点になるのではと恐れています。

「完璧な英語」を目指すことを美徳として、間違いが生じる過程を許さない土壌がこれまでの英語教育に存在していると思います。さらに、教室には「間違った英語を話すことは恥ずかしい」という強迫観念のような雰囲気が日本人の文化として存在しています。しかし、本来、言語を習得する際に生じる間違いは重要なプロセスであって、ミスを重ねながら覚える教育、許容可能なミスについては保留にして全体を評価する「いいかげん(良い加減)」な教育が必要であると考えます。特に中学生には「大きく粗削り」する教育がまずは最優先されるべきだと思います。そのような意味で、日本の教室文化の雰囲気を変えて、むしろ、間違いを歓迎するゾーンに変えていく必要があると思います。現在、中学一年生の「オールイングリッシュ」の授業では、生徒たちは間違いを恐れずに生き生きと英語を口から発声しています。

そういう意味では、間違いが紙面上に残るライティングよりも、一過性で間違いが残らないスピーキングの方が生徒たちにとっては取り組みやすいのかと思います。ライティングというのは間違いが目に見える形で残るので、生徒は文法ばかりを気にしてしまい、発信が消極的になってしまいがちです。私自身が細かい文法の勉強が嫌になって英語嫌いになってしまったという経験がありますので、まずは「間違ってはいけない」という恥の文化を捨てて、英語を好きになってくれる教育をしたいと思っています。そのためには、英語を発信するタスクに関しては「要はメッセージが伝わればいい」ということを生徒に理解してもらうことを重視しています。間違ってもいいから英語を口から出すこと、そしてその楽しさに気づいてもらいたいと思っています。楽しさがわかれば、文法ミスにこだわらずに、リーディングやライティングにも興味を持ち、英語が好きになっていくのではないかと信じています。日本の英語教育では、「細部完璧主義的」な指導を重視している教員が多いというのが現状です。ただ、やはり若い教員からは変化が感じられます。若くて新しい考え方を持った教員がこうした悪しき部分をどんどん変えてくれればと願っています。

駒込学園の教科書

久保先生がお見せいただいた英語教材。かなり難しそうな内容だが、4技能で多面的なアプローチを行うことで生徒は完全に理解できるようになるという。

今後の展望、ICT 教育と新コース創設

ICTを利用した4技能融合型の英語教育

いまICT教育という言葉が独り歩きしていますが、実際に海外の事例を見てみるとタブレット端末を授業中に使うという例はあまり聞きません。実際には宿題や予習で使うというのがほとんどだと思います。

少し具体的な話になってしまいますが、本校の英語の授業でタブレット端末を使うとすれば、というところをお話しします。

伝統的な英語の授業ですと、例えば難しい英文の長文問題を与えて「読んできなさい」「調べてきなさい」という宿題を生徒に課し、実際の授業では難解な文構造の部分を文法的に説明し、暗号解読のように直訳していくような精読の授業が中心になっていると思います。ただ、私はこのやり方ではダメだと思っています。

ここにICT教育を導入するのであれば、残りの3技能をバランスよく統合し、生徒にできるだけ多くのタスクを与え、能動的な言語活動ができる環境を整える必要があります。例えば、中学では学習する文法事項を予めスライド教材として送信し、授業ではそれを元にドリルをフラッシュカードのように与え、かつ英語で説明も加えていくことが可能です。また、高校においては、難解な文章をやさしい英文に書き換えたものをリスニング教材として作成し、それを生徒のタブレットに送信する。この一工程を加えることにより、難解な文章を読み解く上での一助になると同時にリスニング力の向上にも結びつきます。これによって、精読授業であっても、予習段階でリスニングを統合させて有機的にリーディングの授業と結びつけることができるわけです。実際の授業では、文構造や文法の解説といった伝統的な指導をするだけではなく、その難解な文章のパラグラフの内容をパラフレーズして書かせるライティングの活動、さらにその内容について英語でディスカッションさせることによって4技能をバランスよく統合することができます。

以上のような授業が可能になれば、生徒は一つのトピックに対して「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能すべての方法でアプローチすることになります。このような教育が、私の目標とするICT教育です。

コンピュータールーム

コンピューター室には真新しいパソコンが並ぶ。2015年の12月をめどにwifi環境も整え、iPadによるICT教育が2016年度より中1、高1クラスを中心に徐々に導入される予定だ。

学校独自の教育を行うための新コース創設

本校では2016年度から中学校に「スーパー・アドバンス・イングリッシュコース」、高校に「国際教養コース」を創設します。こうしたコースを新しく作ると、一見英語だけにフォーカスした教育だと思われがちですが、最終的な目標というのは他教科との融合です。例えば「原発問題」という1つのトピックに対して、理科では原子力発電の仕組み、社会では戦後の核拡散問題の歴史、英語ではそれに関連した教材を読んでいくというように、様々な面からの取り組みを同じ時期に組み合わせてゆく教育カリキュラムを考えています。各教科ごとに相互に連関させると、生徒の中でもそれまでの勉強が有機的に結びつくと思います。先ほどの英語の授業における4技能の話とも重なりますが、このように1つのテーマに対して多面的に取り組ませるのが重要と考えています。ですからこの「国際教養コース」ではいろいろな問題に対して、多面的に考えさせる授業、すなわち「クロス・スタディ」をカリキュラムのなかに上手に仕込んでいきたいと思っております。

中学校の「スーパー・アドバンス・イングリッシュコース」では「学問を学ぶための英語」を先取りしていこうという点に集中しています。基礎と発展をバランスよく学習の中に取り入れて、中3までには英検の準二級を取ることを目標にしています。もちろん英語だけでは、これからのグローバル社会を生きて行くことはできないので、専門分野に関しては中学、高校でしっかり学ばせます。英語である内容を発信する前に、まずは確固たる自分の意見を持つことが必要です。この「スーパー・アドバンス・イングリッシュコース」の生徒であっても、その先の進路を文系に固定する必要はないと思っていますので、国際教養コースとの完全な接続は考えていません。

つまり、この2つの新コースはいままでお話ししたような独自の教育を行うために作られたということです。また、これらの新しいコースに関して私の個人的な予想をするのであれば、将来的には従来的な中間テストや期末テストが減り、代わりにレポートや発表という形での評価が行われるようになると思います。

教材に関しては、相当な時間がかかるとは思いますが、将来的には本校独自のものを用意していこうと思っています。ただ、こうした新しいコースでは、1つの教科書に頼らないというのが特徴になってくるのではないかと思います。駒込学園では教育目標として「21世紀型人材」の育成を提唱しています。ここでいう「21世紀型人材」とは、論理的な思考能力とそれを相手に伝えられるプレゼンテーション能力を持つ人材です。そのためには知識偏重教育ではなく、答えのない問いを与えてあげることが重要だと思います。先ほどの「国際教養コース」でも環境システムという授業がありますが、それがまさに「答えのない問い」について考える授業です。

総括:悪しき「細部完璧主義」を打破するには

本校というよりもむしろ日本の英語教育一般に関してですが、やはり一番の問題は、縦割り型のカリキュラムが幅を利かせすぎているという点だと思います。つまりリーディングはリーディングで1つの授業、リスニングはリスニングでまた別の授業、というふうに分断されていて相互に繋がりが感じられません。もう1つはリーディングに重きを置きすぎているという点です。こういったことが先ほど申し上げた「細部完璧主義」的な英語教育を生んでいるという背景があります。

従って、特に英語に関してはディスカッションなどをからめて4技能すべてを網羅するようなものを考えていますが、これは従来の教科書では限界があります。

そこで、来年度から設置する「国際教養コース」では従来の科目とは別に、学校独自に授業の内容を設定できる「学校設定科目」を積極的にカリキュラムに取り入れる予定です。この「学校設定科目」では学校独自の教材を使って授業ができるので、例えば先程お話したような4技能技能すべて使った英語の授業や、答えのない問いについて考える科目などを取り入れられれば良いと考えています。

近年、大学の入試改革がさまざまな場所で議論されていますが、私は基本的に大きな変化・改革は文科省の方針を待つのではなく、私学が先頭に立って、開拓していくべきだと思っています。大学の入試制度が変わるのを待つというよりは、むしろこちら側(高校)から変化(英語教育の改革)を起こすというくらいの気持ちでやっていきたいです。

参考:駒込学園HP

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