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コラム

【どう変わる英語教育】〜第1回〜英語教育改革の背景と経緯

2018.01.26

どう変わる英語教育 ― 小学校英語教育改革の真相とは?

 ここ数年、日本の英語教育が大きく変わることがたびたび話題に上っています。特に、これまでは中学校から始まるのが当たり前だった英語の授業が、小学校からスタートすることになったことは保護者にとっても大きな衝撃をもって受けとめられています。この動きは今後さらに加速され、今度は小学校3年生から英語の授業が始まることになっています。保護者の世代には想像もできなかった時代がやってくるのです。

 その衝撃が大きかったためか、この話題はともすれば保護者に危機感を感じさせているようです。たしかに、保護者も経験したことがない小学校の英語は、どのようなものなのか理解するのが難しいものです。子どもにどうアドバイスしたらよいのか、英語を習わせに行かせたほうがよいのか、と不安もあるでしょう。

 このコラムでは、そんな不安や疑問をお持ちの保護者の皆様に、いま進行している英語教育の改革の真相をご説明します。今後どのように対処すべきかを考えるヒントにしていただければと思います。少し長くなりますが、どうぞ気軽な気持ちでお付き合いください。

第1回 英語教育改革の背景と経緯

それは“PISAショック”から始まった

 小学校での英語教育をはじめとする改革は、小学校や英語という枠にとどまらない、実はより大きな教育改革の一部と位置づけられます。

 戦後の奇跡的な「高度経済成長」を支えた要因のひとつは、日本の学校教育の質の高さでした。この質の高さは国際的にも認められたものでしたが、2003年に実施された国際的な学力調査であるPISA(ピサ/ピザ)の結果は、日本の教育界に大きな衝撃を与えました。(これを、「PISAショック」といいます)日本の小・中学生の学力成績はそれまで世界でもトップ10の上位に入っていましたが、この年は科目によっては10位以下にまで急落してしまったのです。

 この時期はまた、日本の少子化がいよいよ明らかになった時期でもありました。少子化は社会の生産力=国際競争力を低下させる重大な原因となるものですが、かたや世界の経済はグローバル化を急速に進めていて、各国ともいかに国際競争力を高めるかが国の重要な課題でした。

 国の未来を左右する重要な要因のひとつが、教育です。ますます進行する日本の少子化と世界経済のグローバル化という相反する流れを解決する手段として、政府は文部科学省を中心に教育改革に向けて動き出しました。(下図参照)

 

 

改革は「入口」と「出口」からスタートした

 教育改革は、小・中・高・大と続く学校制度の入口にあたる小・中学校(義務教育)と出口にあたる大学の教育改革から始まりました。

 義務教育については、「詰め込み教育」ととかく批判の多かったそれまでの知識量偏重型の教育方針を是正して、思考力に重きを置いた経験重視型の教育への転換を図るため「総合的な学習の時間」を設けるなど、通常の教科の授業時間を減らす「ゆとり教育」が当時実践されていましたが、PISAの結果を受け、再び通常教科の授業時間を増やして目に見える成果を高める方向性に変更されました。これは、学校教育全体の「土台固め」といえます。

 一方、大学教育は学校教育の完成段階にあたりますので、教育成果に直結するものです。国際競争力を高めるためには、何としても大学教育の質を高める必要があります。ところが少子化にともなって、日本の大学は近い将来、存続の危機に陥る可能性があるのです。*1 そこで国は、大学ごとに特徴を明確にし、各大学がその特徴に合った教育に特化することで入学者を確保するとともに、その分野で教育の質を高める方向性を打ち出しました。

 

そして、改革は仕上げの段階へ

 このように学校教育の「下から」と「上から」それぞれ始まった教育改革ですが、いまから始まろうとしているのが、その双方の流れをつなぐ「高校教育の改革」と「高大接続(いわゆる大学入学者選抜)の改革」です。高校教育については、授業科目や教科書の内容を定める学習指導要領が変わります。(新しい内容は、「新課程」といわれます)また、高校教育の質を確保する手段として、現在小・中学生を対象に実施されている「全国学力調査」に相当する「高校生のための学びの基礎診断」というテストを新たに開始し、高校教育の成果を測ろうとしています。

 高大接続については、少子化により入試の競争率が下がることから、従来の「選抜」という発想から「接続」という観点に変えることで、よりスムーズに入学者選考を実現することを目指しています。入学試験の内容も、これまでのように知識量中心に測るのではなく、「思考力・判断力・表現力」も同時に測る方向に変えようとしています。(そのために2020年度から、現在の「大学入試センター試験」が新しいスタイルの「大学入学共通テスト」という試験に変わる予定です)

 高校教育と高大接続の改革が最後になったのには、理由があります。これまでも日本では様々な教育改革が行われてきましたが、思ったほどの効果が上がりませんでした。それは、これまでの改革が小・中学校の改革、高校の改革、大学の改革、そして大学入試の改革というように部分部分をバラバラに手直ししていたことが大きな原因と考えられます。例えば高校の教育を変えようとしても大学入試が変わらないため、高校の教育は結局大学入試に合わせていかざるをえず、当初のねらいどおりに高校教育が変わらなかったという事情がありました。(このように、より「上流」の状況に「下流」が影響を受けることを『ウォッシュバック効果(波及効果)』といいます)そこで今回の改革では、日本の学校教育全体のキモとなっている大学入試と高校教育の改革を仕上げにもってくることで、これまでとは逆の意味でウォッシュバック効果を働かせて、他の学校改革の効果を高めようとしているのです。

*1:2017年度、全国の私立大学(581校)中、入学者が入学定員を満たさなかった学校は全体の39.4%(229校)に上っている。(日本私立学校振興・共済事業団調べ)

(第1回 おわり)

第2回:教育はどのように変わっていくのか

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