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なぜできる実感が少ないのか?

2017.04.03

連載:教育者のための英語4技能教室

第4回: なぜできる実感が少ないのか?

英語や国語が他の教科にくらべて「わかる」「できる」実感が低くなる理由としては、「何をどれだけ身につければよいのか」がはっきりしていないという点に求めることができます。

もちろん、国語の場合ならば漢字や文法事項などのような習得すべき事項をあげることはできますし、英語の場合も単語や熟語、文法事項などを数え上げることはできます。しかし、国語にせよ英語にせよ、その教科で学ぶべきことはそのような知識だけではありません。むしろ、より重要なのはそれらの知識を活用した「読む力」や「聞く力」、あるいは「書く力」や「話す力」の方にあることは明らかです。

そして、これらの「言葉の力」について、目標がはっきり見えていないことが第一の問題です。(この点については、前記のとおり、英語については一定の到達目標が示されるようになってきましたが、国語についてはそれに相当する具体的な到達目標がありません。)

第二の問題は、これらの「言葉の力」は知識として理解するだけでは十分ではなく、実際に使ってみることを通してしか身につかない技能であり、その使用の場が現在の学校教育では絶対的に不足しているということです。

生徒が授業の中で実際に使ってみる機会が少ないということは、「できるのかどうか」を判断する機会も少ないということであり、それゆえに「できる」実感を感じにくい授業になっているのです。ここで問題としているのは、授業の内容が適切かとか、授業の質が高いかとかいった次元のことではなく、「必要な知識は与えたので、あとは自分たちで練習して自分のものにしてください」というこれまでの授業のあり方でよいのかということです。

学校教育が万能ではないことは、もはや異論のないことでしょう。特に義務教育は、「社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的(*1)」として行われるものであり、高校も既に準義務化している現状においては、小学校から高校までを通じて国民として最低限で必須な資質の育成を目的としているのですから、あまり色々なことを期待し過ぎてもよくないでしょう。

*1「教育基本法」第二章 第5条の2。

とはいえ、否、だからこそ、学校教育は学校以外の場での学習や、卒業後の継続学習をも喚起することが大切な役割となるのではないでしょうか。十分なものとは言えないにしても、学校教育を通じて呼び起こされた学習へのモチベーションが生徒各自の必要や関心に応じて豊かに広がっていくことこそが、多様化し複雑化していくこれからの時代に求められる学校教育ではないかと思います。

その意味で、次の学習指導要領においては各教科の具体的な目標が示されるとともに、これまでは見られなかった授業のあり方に関する踏み込んだ指針(*2)が盛り込まれることで、学校教育にとって一つのターニングポイントとなる可能性が感じられます。

*2 次期学習指導要領では、「何ができるようになるか」、「何を学ぶか」、といった点だけではなく、「どのように学ぶか」という観点にも論及することで「主体的に学ぶ態度」を育成することを目指している。

そこでは、有効な学習法としてアクティブ・ラーニングが示されています。アクティブ・ラーニングとは生徒自らが知識や解答を探究していく学習法で、ここで注目したいのはこの学習法の有効性や妥当性などではなく(*3)、そこでは従来の学校教育においてはできるだけ排除しようとしていた「間違い」や「失敗」を積極的に学習の中に取り込み、それを通じて「深い理解」に至ろうとしている点です(*4)。

*3 アクティブ・ラーニングの妥当性については、特に知識学習の効率に関して疑義や反論が多いが、本稿は個別の学習法を検討することが主眼ではないので、この点については別の機会に触れたい。

*4 「具体的な失敗を活かす」という発想は、プロダクトの世界では早くから注目されている。たとえば、技術工学に関して畑村洋太郎氏が提唱する「失敗学」や、世界的なデザインファームIDEOが実践する「デザイン思考」などはその一例である。

これまでは「無駄」とか「非効率」と考えられてきた失敗体験を成功に至る必須条件とするこの考え方が、もし授業の中にしっかり定着したならば、授業(そして学習)のイメージが大きく変わる可能性がありますし、今後技能面を重視しようとしている国語や英語などの言語系の教科こそが、そのような学習を最も必要としているのではないでしょうか。

なぜなら、成功はもとより失敗の機会さえも十分に用意されていなかったこれまでの国語や英語の授業が、主体的な学習のモチベーションにつながる「できる実感」を得にくいものであったという事実が、その授業のあり方ゆえに国語や英語を苦手と思い込む生徒を多数生み出すひとつの背景になっていたと思われるからです。

英語教育に関してこの転換が成功するかどうかは、一方で一クラスあたりの生徒数をどうするのかとか、ALTなどの補助的教員をどう配置できるのかなどの物理的な教育条件の整備にかかっているとともに、なによりも授業を構想し運営する教員自身がその授業観や学習観を自ら変えていけるかどうかにかかっているのではないでしょうか。

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