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教育者インタビュー

TOEIC伝道師千田潤一は語る「英語試験の4技能化は当然の流れ」

2015.09.15

千田 潤一(ちだ じゅんいち)先生は日本におけるTOEICの伝道師と知られ、長年にわたりTOEICの普及活動に腐心されてきました。また、千田先生は「英語難民救済」をミッションに掲げ、4800回以上にも及ぶ講演・セミナー(2015年9月時点)や執筆活動を通じて「人と企業の国際化の推進」にご尽力されています。

 

img_chida千田潤一先生

福島大学経済学部卒業。タイム・ライフ、AIU保険会社、TOEICテストを普及する国際コミュニケーションズを経て、現在英語教育コンサルティング会社である(株)アイ・シー・シー代表取締役。英語トレーニング法指導の第一人者であり、2000年より那須高原に、「英語難民救済センター」を主宰する。

音読の大家としても知られ、同時通訳者の國弘正雄先生との共著「英会話・ぜったい・音読」シリーズ(講談社)や「音読だけでこんなに話せる英会話」(三笠書房)、大学用テキスト「TOEICテスト受験者のための英語トレーニング」(朝日出版)など著書多数。

 

 

本稿の目的は千田先生より日本の英語教育の課題と展望をうかがうことです。社会人と企業の英語教育のエキスパートである千田先生に、敢えて中学から大学までの英語教育にも言及していただくことにより、人生を通じた英語学習のヒントを得られることでしょう。

 

 

– TOEICの伝道師が語る、日本の英語教育の課題と展望 –

1. 日本の英語教育の課題「なぜ日本人は英語が下手なのか」

2. TOEICの有用性と限界を知れば、英語はもっと楽になる。

3. 英語試験の4技能化は当然の流れ。しかし、本当の改革はこれからだ。

 

1. 日本の英語教育の課題「なぜ日本人は英語が下手なのか」

① コミュニケーション教育の欠如が「発信力」のない日本人を育てる

これは英語教育以前の問題で、ベースとなるコミュニケーション教育が欠如していることが最大の問題だと考えています。日本の学校では先生の話を静かに聞くのが主で、人前で話す練習や人と議論する練習が従。発信の機会と量が圧倒的に足りない。「沈黙は金」といわれますが、グローバル社会においては沈黙は禁なのです。

“What’s new?”(何か変わったことは?)という質問に対して”Nothing in particular.”(とくにありません)とか、”What do you think? “(どう思う)という質問に対して”I’m not sure.”としか答えらない。話題もない主張もない。これではいくら英語を熱心に学んでも意味がありません。まずは、英語教育の前に母国語である日本語によるコミュニケーション教育を改善することが必要だと思います。

海外に行って実際に英語を使ったことのある方なら実感したことがあると思いますが、語彙が乏しく文法や発音が間違えだらけでも、実のあるメッセージ(Substance)が伴っていれば相手は興味を示してくれます。一方、どれだけ豊富な語彙や正確な文法を用いて会話や文書作成ができたとしても伝えたいメッセージが乏しければ相手にしてもらえません。

② 英語教育の問題は環境問題

私は英語教育の問題は、環境問題と同義だと考えています。日本の学校では英語の先生の日本語が主で、英語を使う活動も英語環境もまだまだ少ない。若いうちは吸収力がありますから、環境を英語で満たせば、生徒はどんどん英語を吸収していきます。その環境を作ることができるのに作らないというのは、もったいないし、怠慢だと思います。

日本人が英語を使えないのはなぜでしょうか。それは、使っていないからです。使う環境も圧倒的に少ないからです。そして、勉強止まりの英語教育を続けてきたからです。

英語は実技科目です。野球の本を読んでも野球が上手くならないように、英語も使わなければ上手になりません。もちろん、ある程度の座学は必要です。しかし「分かる」から「使える」というフェーズに移行させるためには、実際に「使う」必要があります。

③ 入試が目的となった英語教育の弊害

日本の英語教育に関して、最後にもう1つ。日本の英語教育の最大のネックは大学入試でした。実社会で求められる英語からかけ離れた内容の入試問題が出題されてしまうがために、中学・高校の入試問題や授業内容もそれに対応せざるを得ませんでした。最大の被害者は、中高の英語の先生がたであり生徒たちです。加害者は、今まで大学入試を作ってきた大学の英語教員です。今後、大学入試に外部試験が導入され、英語教育全体も様変わりするでしょうし、様変わりしてほしい。

その起爆剤になるであろうTOEFLやIELTSなどの外部の4技能英語試験を入試制度に導入する取り組みは、非常に歓迎されるべきことだと思います。今はまだ一部の大学にとどまっていますが、これが今後どんどん普及していくでしょう。ただ、それに連れて学校で教える英語も速やかに4技能化できるかどうか、これが極めて重要なポイントになってきます。鍵は先生がたの対応力と対応意欲。先生が変われば生徒が変わる。生徒が変われば日本が変わる。改革には痛みも伴いますが、先生がたには頑張っていただきたいですね。

千田先生インタビュー

 

2. TOEICの有用性と限界を知れば、英語はもっと楽になる。

① 英語を学ぶ目的を再確認。スコア崇拝主義からの脱却

英語を学ぶ目的はあくまで「英語で海外の人とコミュニケーションをとること」なのにも関わらず、最近ではTOEICスコア至上主義ともいえる現象がおきています。高得点や満点を取ることが凄いこととされ、小手先の「TOEIC対策」が流行りだしてしまったのです。

しかし「実社会」で求められている人材は、TOEICでスコア990点をとれる人ではありません。とりわけ企業が欲しているのは、海外の人とコミュニケーションがとれ、異文化が理解でき、そして海外でもビジネスができる人です。そこを勘違いして、TOEICのスコアだけを追い求めていくことは無意味なことです。スコアは高いが英語を話せないという人たちも数多くいます。スコアだけを追い求めてきたことがバレバレの人たちです。求めるものを間違うと、そうなってしまいます。追い求めるのはスコアでなくスキル。追いかけるのは、英語でなく人間。そして、異なる人々とのコミュニケーション能力です。

高いスコアをとるだけを目標とするのではなく、TOEICはあくまで現在地の確認・目標の設定・進化と退化を測定する指標として使うべきだと私は考えています。また、絶えず「自分がなぜ英語を学習しているのか」ということに立ち返り、英語やTOEICの先にある世界を意識しながら英語を学んで欲しいと思います。

② 他の英語4技能試験が伸長するなかでのTOEICの位置づけ

TOEICは実社会、とりわけビジネスの場面で使われる英語の試験であり、TOEFLなどは留学や学問を目的とした英語4技能試験であるという点でその目的が違います。TOEFLは「大学への入り口の試験」、TOEICは「大学からの出口の試験」と言ってもいいでしょう。

TOEICにもライティングやスピーキングはありますが、まだ広く普及しているとは言えません。教育現場においては文部科学省主導による4技能普及の努力が成果を結びつつありますが、企業では、まだ4技能熱が十分高まっていないというのが私の感想です。「TOEIC団体受験(IP)の平均点が470点、最多得点層が350点という社員に、スピーキング&ライティングテストを受けさせるのは、“まだまだ”」という感想が多く聞かれます。

4技能試験としてのTOEICが企業に普及するかどうかは、学校教育での4技能化の進展にかかっている部分が非常に大きいと思います。

③ 4技能試験としてのTOEIC

4技能試験としてのTOEICが企業でなかなか普及しないのは、多くの社会人の英語力がリスニングもリーディングもままならないレベルにあるため。確かに4技能バランス良く育むことが大事ですが、聞けない英語は話せないし、読めない英語は書けません。

リスニングが「歩く」ことなら、スピーキングは「走る」こと。人は歩けるようになって始めて走れるようになります。それは「走る」という行為が、「歩く」という行為の一部であり、その延長線上にあるからです。リスニングができない人に、いきなりスピーキングに挑戦させるのは、歩けない子供にいきなり走れと言っているようなものです。

4技能はバランス良く同時に学習を進めていくべきですが、ライティングとスピーキングの上達はリスニングとリーディングによる圧倒的なインプットが前提であることを忘れてはいけません。リスニング教育とリーディング教育の充実が望まれます。

3. 英語試験の4技能化は当然の流れ。しかし、本当の改革はこれからだ。

① 立ちはだかる障害

英語の4技能試験が普及していき、それにつれて学校の授業の内容も変わっていくことは当然の流れです。しかし、まだまだ抵抗勢力は多いと聞いています。”English education for the survival of English teachers who can’t communicate in English”であってはならないと思います。スピーキングやライティングを教えることができない先生が、自分のサバイバルのために英語4技能化への流れに抵抗する。事実であれば悲しい限りです。

こういう時だからこそ、「なぜ英語を学ぶのか」ということを再確認する必要があります。学生の9割以上が企業へ就職するという現実を教育者の皆さんはしっかりと把握し、彼らが実社会に出てからも「使える英語力」を身につけさせて欲しいと願っています。

② 英語4技能の普及とともに見直される音読の効果

音読すらできない英語は使えません。音読を聞くと瞬時に英語力がわかります。音読力は英語力です。英語力をつけるのに音読は必要不可欠です。しかし企業での英語研修で音読をして英語を学習している人に手を上げてもらうと、未だに100人中1人か2人くらい。多くの人は参考書を黙って眺めて、高得点を取るための傾向と対策をしているのです。

私はよく「音読すると耳が開く」とか「音読はリスニングトレーニングの王様」と言っています。声に出さない英語学習は無意味です。声に出すことで聞けるようになり、聞けるようになることで話せるようになります。

しかし、いきなり音読を始めたのでは効果が激減します。音読には、ぜったいに外してはいけない2つのルールがあります。

まず、意味が理解できた英文を音読すること。意味が分からない英文を読んでも雑音を発しているにすぎません。まずは、意味がしっかり理解できた英文を音読する。次に英文テキストのCDを聞いて、発音やリズムを真似る。はじめは上手にできなくても、だんだんとCDの発音やスピードに合わせて真似することができるようなります。

この2つのステップをこなしてから、音読に取り組みます。この2つのステップをおろそかにしてしまったために音読の効果を実感できず、英語を諦めてしまう人が多いのです。

③ 音読の効果は体感しなければわからない

様々な形で音読の効果が強調されているにも関わらず、学校で音読のやり方と効果を上手に教えているところは、まだまだ少ないようです。ですから、生徒たちもどう音読していいかわからないし、音読しようとも思わないのです。音読がいかに英語学習に効果があるかということは、体感させなければわかりません。

まずは、先生がたが率先して音読し、その効果を自ら体感し、その感動を生徒たちに伝えていって欲しいですね。そして、プロとして恥ずかしくない英語力を身に着け、「あの先生のようになりたい!」というお手本になって欲しいと思います。

 

【最後に】千田先生から英語を学ぶ皆さんへのメッセージ

◯ Let’s enjoy making mistakes; One mistake is one progress!

◯ Life is a game. Go for it!

 

私は英語を学んでいる皆さんに、いつもこの2つの言葉を贈っています。

1つ目は、「間違いを楽しもう!1つの間違いは1つの進歩なんだから」。もう1つは、「人生は1回きりのゲームだ。思い切りやってみよう!」です。お1人さま1回きりの人生を、思い切り燃やし尽くしたいですね。

 

千田先生からのメッセージ

まとめ

インタビュー中、千田先生は、英語は実技科目であること英語学習の目的は試験で良いスコアをとることではないということを、何度も強調されていました。そして、学んだ英語を実際に「使う」ことと、英語を学んで何をしたいのか、学ぶ目的を常に「意識」すること。この2つが、英語が使えるようになり、グローバルな舞台で活躍できる人材になるための必須条件だということを、繰り返し強調されていました。

 

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