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教育者インタビュー

英語マナー講師横手尚子さんから学ぶ「世界に通ずるマナーとコミュニケーション」とは?

2017.11.22

今回は、元日本航空・国際線客室乗務員であり、現在では英語マナー講師や専門学校の英語講師としてご活躍されている、横手 尚子さんにインタビューいたしました。今回の記事はなんと二部構成です!

第一部:~英語マナー講師横手 尚子さんから学ぶ「英語力を伸ばす環境の作り方」とは~
英語力が伸びる環境の作り方、社会において英語が使えることのメリット、そして横手さんが教育者として大事にされていることとは?

第二部:~英語マナー講師横手 尚子さんから学ぶ「世界に通ずるマナーとコミュニケーション」とは~
世界各国のお客様をおもてなししてきた横手さんが経験された、海外の人を接客した際の面白エピソードや国によって異なる一風変わった文化の紹介。また、日本人が海外のお客様を接客する際に、気をつけるべき点を丁寧に解説!

本記事は、第二部です!

横手尚子さんのプロフィール

元日本航空・JALways国際線客室乗務員。現在は、駿台トラベル&ホテル専門学校講師、駿台外語&ビジネス専門学校講師、大手オンライン予備校「学びエイド」の英語鉄人講師(「高校生から学べるおもてなし接客英語講座」https://www.manabi-aid.jp/user/prof/2Q3)、大手オンライン英会話EnglishCentral(https://blog.ja.englishcentral.com/2017/10/19/taxi-english/)の英語アドバイザーを務め、独自の接遇哲学と明るい授業スタイルにより、国内外の多数の生徒から熱烈な支持を獲得している。国際英語発音協会発音検定最高ランク。英語発音指導士®(http://www.hatsuken.org/shokoyokote/)。主な著作『世界に通じるマナーとコミュニケーション–つながる心、英語は翼(岩波ジュニア新書)』http://amzn.to/2s1jJWZ

1.マナー講師としてご活躍されていますが、日本人が考えるマナーと外国人が考えるマナーの違いを教えてください。

日本では「相手を中心」に置いて、「相手」の気持ちを損なわないようにするスタイルが基本ですよね。ともすれば、それが最大限の配慮や過剰な対応になってしまいがちです。しかし、フラットな人間関係を基本とする外国人、特に欧米人とはそこが大きく違っています。
まずは「日本流のおもてなし」が押し付けにならないようにしながら、いくつかの工夫をするとうまくいくと思います。現に、アメリカ人の友人たちから、「日本のおもてなし」は“too much”だと言われたことがあります。日本流のおもてなしを必要以上に押し付けないことが大切だと考えています。

2.日本ではマナーが良いとされている行為が、海外ではそうでないことがあれば教えてください。

ここでは、3つのことについてお話しましょう。1つ目は、プライベートの話をすることについて、2つ目は、相手の外見の話をすることについて、3つ目は、接待時などでのお酒の席についてです。

1.プライベートの話をすることについて

相手に親近感を抱いてもらうために、日本ではプライベートなことまで洗いざらい話す人が「誠実だ」と捉える方も多いかと思いますが、これは国際的な場では絶対にやめておくべきだと思います。プレイベートの基準は国によって大きく異なっていて、誠意を持って話したつもりが、逆に「失礼で非常識」だと思われてしまうことがあるからです。さらに、「この人はプライバシーに関わることや秘密ごともすぐに人に話してしまうのではないか?」などと思われて信用を失ってしまったら逆効果です。

CA時代の話になりますが、JALでは機内での「スモールトーク」のことを「スポットカンバーセーション」と呼んで、お客様とのコミュニケーションをはかるためのサービスをしていました。


今振り返ると、やはりその時には話題選びに気をつけるようにしていました。たとえば、これは一般的に日本人の間でも同じですが、やはりプライベートな話題(政治・宗教・年齢・家族関係・子供の有無・お金など)は出さないようにしました。話題選びについてこの時学んだのは、「血液型」や「仕事」についても話に出さない方がよい、ということです。

私たち日本人は血液型や仕事についての質問はわりとナチュラルだと思っていますが、外国の方にとって血液型はプライベートなことですし、血液型占いなどを信じているのは世界的には少数派のようです。また、仕事に関しては、おおよその年収を推測できてしまうため、いきなり尋ねるのは失礼に当たってしまいます。

もちろん、これらが当てはまらないケースもあります。若い世代は我々の世代に比べてプライベートなことはあまり気にせずに話したりもしますし、全般的にアメリカ人はイギリス人に比べて寛容であるとも思います。繊細な話題はあくまで相手の出方に応じる、というスタイルを崩さないようにすることが大切です。

もし、話の流れから、プライベートな質問をする場合には、“May I ask you something?(ちょっとお聞きしてもよろしいでしょうか?)”などとクッション言葉を添えてから、“Would you mind if I asked your age?(年齢をお聞きしてもよろしいでしょうか?)”と言ってみたり、“If you don’t mind my asking, how long have you been married?(失礼ですが、ご結婚してどれくらいですか?)”とか、“May I ask, do you have any children?(恐れ入りますがが、お子様はいらっしゃいますか?)”などという聞き方をすれば、丁寧な印象を与えることができます。

逆に、私の経験上、まず初めにその人が「どこの国の出身なのか」(=無難な話題)ということから尋ねて、その国の料理や観光スポットなどの話題に持っていくと喜ばれて、場が盛り上がることがよくありました。相手の出身地を聞いて、そこで一番美味しいものは何かと尋ねると、多くのお客様は顔が緩んで笑顔で話してくれたのがとても良い思い出になっています。やはり食への興味は万国共通ですね。自国をほめられて「嫌だ」という人は少ないでしょうから!

2.相手の外見の話をすることについて

日本人は、「吹き出物が出てる」とか「すこし太ったね」のような身体的なことをすぐ口に出しますが、これも大変失礼なので、気をつけましょう。

さらに、日本では一般的に「鼻が高いこと」や「顔が小さいこと」が褒め言葉になっていますが、鼻の高さにコンプレックスを感じていたり、「顔が小さい=脳みそが少ない」という意味にとってしまう欧米人も多くいます。美の基準や価値観は国によって違うので、このような点にも気をつけた方がよいと思います。

3.接待時などのお酒の席について

日本人は接待や会食・飲み会などの席で、お酒を沢山飲む傾向があります。その際に気をつけていただきたいのは、本人が飲みたいと思っている量(適量)以上に無理に飲まなければならないと相手に感じさせないことが大切です(アルコールハラスメント)。特に海外からの出張時などで、まだ時差が残っている時には、飲ませすぎるようなことはしないようにしてください。

それから、日本では相手にお代わりを注ぐことが礼儀になっていますが、欧米人はあなたにお代わりを注いでもらおうなどとは思ってもいません(期待していません)。これなども、アルコールハラスメントと感じさせるひとつの原因になりますので、注意が必要です。

外国人にこういったこと(日本人の慣習)を説明するのは良いと思いますが、本人が欲する以上に飲ませるのは良いことではありません。これはおそらく欧米人全てに共通する問題で、欧米の個人主義をこのような状況で、肌で感じておくのはよいことだとも思います。

また、欧米では、公共の場で女性が男性にお酒を注ぐのはマナー違反です。パーティーなどの席で何度か見かけたことがありますが、女性からお酌はしないように気をつけてください。

それから、これは韓国人の留学生から聞いた話ですが、韓国では儒教が根づいているため、目上の方に敬意を払うことが習慣づいています。このため、目上の人に正面を向いてお酒を飲むのは無礼に当たるので、そのような時には顔を少し斜め横に背けていただくそうです。また、食事中は、年長者のペースに合わせて、敬いながらいただくそうです。ちなみに、家での食事の際にも、父親が食べ始めるまで、他の人は食事を口にしてはいけないそうです。

このように、外国人とお酒を飲む時には気をつけるべき点が沢山あります。より良い関係を築く上でも、マナーの知識は自分を守ってくれる大きな武器になるのです。

3.海外のお客様をおもてなしする際に面白いと感じたり、興味深かったエピソードなどはありますか。また、海外のお客様をおもてなす際に困ったこと、トラブルなどがあれば教えてください。

ここでは、接待でのエピソード、機内での異文化エピソード、留学生から聞いたエピソードの3つのエピソードについてお話しさせていただきます。

接待でのエピソード

中国人の接待で

以前、中国からのお客様をラーメン屋さんにお連れした時、「日本の飲み水は冷たすぎるので飲めない」と言われて驚きました。中国では冷たいものは体によくないとして、彼らは真夏でも水は常温で飲むのだそうです。「特に、熱々のラーメンに、氷の入った冷たい水の組み合わせは信じられない。頭が痛くなります」と顔をしかめて話していました。日本人には当然で、最高においしく感じられるものでも、文化が違えば味覚も変わるということです。

それから、中国人のお客さまを中華料理店にお連れする時には、その人がどこの出身かによって、食べ慣れた料理が違うので注意が必要です。(中国料理では、「山東」「江蘇」「浙江」「安徽」「福建」「広東」「湖南」「四川」を八大菜系(料理)と呼び、区分するそうです)

和食では1品ずつ出すのがおもてなしになりますが、中国人は豪勢に見える方を好みますので、和食の場合でも最初から全てを机上に乗せてもらうように、電話予約時に料亭に頼んでおくのもポイントです。

ベトナム人の接待で

ベトナム人と食事に行った時の話。日本では食卓でお取り分けする時に「おとり箸」を使いますが、ベトナムでは各自直箸でつついて食べるのが一般的だと教わり、びっくりしました。また、麺類を食べる時に丼に口をつけてお汁(スープ)を飲むことはマナー違反なので、必ずスプーンで飲むそうです。

機内での異文化エピソード

欧米のお客さまの感じの良さ

お食事やお飲み物を提供した際、必ず目を合わせて thank you と言って下さるので気持ちが良いです。

イスラム教徒のお祈り

お客様がある決まった時間になると、いきなり機内のドアサイド(スペース)でお祈りを始めました。

インド人はYESの時に首を横に振る

「コーヒーのお代わりはいかがですか?」と伺ったとき、首を横に振られました。慣習を理解をせず対応しなかったら、クレームを受けた新人がいました。

リカーサービスは路線や客層によってサービスの違いがある

私がCAの頃は、ホノルル線はソフトドリンクが多めに、東京・ロス・サンパウロ線(今はない)では飲料サービス用の砂糖が多めに搭載されていました(ブラジル人がコーヒーにたくさん砂糖を入れて飲む人が多いから)。また、中国人のお客様が多い時には、コーラ用にレモンスライスが多めに搭載されていました。

日系ブラジル人

サンパウロ→ロサンゼルス→東京線(今は無い)に搭乗された日系ブラジル人のお客さまは、心打たれるほど慎ましやかでした。丸一日を超える移動時間中、一度も座席の背を倒さず、じっとされている方も多かったです。日本の上空にかかると、背筋を伸ばし、窓の外を見ながら故国の姿に涙をためていらっしゃる方もいらして感動したこともあります。

留学生から聞いたエピソード

アフリカ人(ケニア)留学生から

日本人特有の「いえいえ」と顔の前で手を横に振るジェスチャーが、「あなたは匂う」とか「臭い」という意味かと思い、ショックを受けたことがあるそうです。

家族が遊牧民のモンゴル人留学生から

羊が主食(羊を大きな鍋で茹で、塩のみで食べる)で、羊以外には牛とジャガイモと米のみ食べられるそうです。野菜は「何の栄養もないから食べても無駄だ」といっていました。

タイ人留学生から

タイでは頭は神様が宿る神聖な部分なので、子供の頭を撫でてはいけません。もし頭を殴ったりでもしたら大きな喧嘩に発展するそうです。

4.日本人が海外の人をおもてなしする際には、どのようなことを心がけるべきですか?

文化的背景を異にする人と接触する際には、「相手に何をしたら喜ばれるか?」ということを追求する前に、まずは「相手が嫌がる事は何か?」を知り(=事前に調べる)、それを避ける事が摩擦やトラブルを少なくする第一歩だと思います。

私たちが想像する以上に、国や民族によってジェスチャーヤボディランゲージの持つ意味が異なる場合が多く(下記例参照)、また、宗教や風習、食への気配りなども必要になってきます。その上で、「相手に何をしたら喜ばれるのか?」を見いだす事が大切なのではないでしょうか。

国によって言葉や文化、宗教などの違いから、その国独自のマナーというものが存在します。海外に行く時や、大切なお客さまを海外からお迎えするときには、相手の国の文化・風習を事前に調べておくことがとても大切なマナーです。


ジェスチャーやボディランゲージの意味の違い

【例1】ギリシャでは「パー」は相手の顔に泥を塗るという意味、「チョキ」は相手を侮辱する意味になるのでしてはいけない。

【例2】手のひらを下向きにする手招きと手のひらを上向きにする手招き。日本では、手の平を下向きにして手招きをすると「こっちにおいで」という意味になりますが、アメリカでは「あっちに行って」の意味になります。

【例3】指でつくるOKサインは、ヨーロッパの一部や中東、南米ではタブー。フランスでは役立たずや無能を、南米ではお尻の穴を意味し、ともに相手を侮辱するサインとなる。


5.海外の人におもてなしをしている、または今後していく方にメッセージをお願いします!

国によって文化・風習やマナーの違いは驚くほどたくさんあります。
また、時の経過とともにそれらは確実に変化もしてゆきます。
ここでご紹介させて頂いた事例も、数年たてば通用しなくなっているかもしれません。

ですから、自分が正しく、相手がおかしいという発想は禁物です。あくまで相手の立場になって、欲していることを察していきたいものですね。

「おもてなし」とはそういうことではないでしょうか?

“Walk a mile in their shoes.”(相手の靴を履いて1マイル歩いてみよう)
という表現が私は大好きで、学生たちにもいつも言っているんです。
相手の靴を履いて長く歩いてみるということは、まさにそのようなおもてなしの心を表現していると思うんです。



日本流のおもてなしの心を大事にしつつ、様々な文化、そしてお客様を含めた一人ひとりの個人に対し、こちらから興味を持っていくことがやはり大事だと感じます。 そうすることによって共通点も違いも見えてきますね。 そんな興味と想像力を生かしていけば、“Too much”(やり過ぎ)というお客様の感想も、“Just perfect”(絶妙)!!に変わっていくと思っています。違いの先には共通点という笑顔の扉が開いています。

そして単に英語が堪能であるだけでなく、お互いの国の文化(他国の文化と自国の文化両方)の理解に努めながら、コミュニケ−ションをはかることこそ、最高のマナーであると言えるでしょう。

“Let’s walk a mile in THIER shoes!!
”

(※本記事では、世界に通じるマナーとコミュニケーションについての一部を紹介しましたが、詳しくはコチラの横手さんの著書をご覧ください)

 

〜取材後記〜

東京オリンピックを契機に日本の“おもてなし”がクローズアップされていますが、今回のインタビューを通して、海外の方への“おもてなし”の考え方が大きく変わりました。日本で“おもてなし”というと、至れり尽くせりの対応が喜ばれると考えがちですが、文化や考え方や違う海外では、日本人とは、されて喜ぶ基準が違うんですね。まずは相手のことを知る、知ろうと努力すること。これこそが最大の“おもてなし”になるんですね。確かに、海外の人が日本の文化を理解してくださって、日本流のおもてなしをしてくれたら、とても嬉しいですね。相手の国の文化や考え方を尊重して、ぜひあなた流の“おもてなし”をしてください!

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