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教育者インタビュー

スピーキングが英語教育を変える!Jアプローチ普及協会代表:米原幸大

2015.10.16

この夏に出版された『Jアプローチ:「4技能時代」を先取りする凄い英語学習法』(IBCパブリッシング)の著者であり、Jアプローチ普及協会代表、使える英語普及協会常任理事の米原幸大先生に、今の日本の英語教育の課題や、大学入試の4技能試験の導入についてインタビューしました。

yonehara2米原幸大プロフィール
・英語講師
Jアプローチ普及協会代表、
・一般社団法人使える英語普及協会常任理事
・セントラルミズーリ大学大学院卒(英語教授法)
・サウスカロライナ大学博士課程在学(言語学)
・元コーネル大学客員講師

著書:『完全マスター英文法』(語研)
   米国の日本語教育に学ぶ新英語教育』(大学教育出版)など。

-Jアプローチとは

Jアプローチ(別名ジョーデン・メソッド)はコーネル大学名誉教授のエレノア・ジョーデン博士が開発した、英語母語者にとって日本語などチャレンジングな外国語を習得するのに使われている学習法です。北米では、高校や大学で使われています。大学レベルでは、ハーバード大学などほとんどの有名校はこのJアプローチを使っています。
私は、コネール大学などのアメリカの大学生に対して、ジョーデンメゾッドを使って日本語を指導していました。日本語は難しく、学ぶインセンティブも少ないにも関わらず、ジョーデンメゾッドを使ったアメリカの学生は3年間で、日本語で議論できるレベルに達します。
この方法は日本人が英語を学ぶ時にも応用できると思い、ジョーデン博士のJを取って、Jアプローチとして日本での指導を開始しました。

-1990年代の英語の語学留学ブームについて

日本では、1990年代に英語の語学留学ブームがありました。海外に語学留学をする日本人が急激に増加し、どこに行っても日本人がいました。特に、ロスなどの主要都市ではクラスの生徒のほとんどが日本人だったなんて語学学校もありました。そして、北米の大学がこの日本の英語ブームに便乗して、日本に分校を建てるために進出して来ました。

でも、現在残っているのはテンプル大学日本校くらいでしょうか。他の大学は撤退してしまっています。失敗の理由は、クラスを英語で履修しても、英語力の低い日本人学生には「分からない」分、英語力はインプットされないからです。しかも、英語が分からないと、一般のクラスの内容も分からなくなるダブルパンチです。今は「グローバル人材育成」ブームで、クラスを英語でやっている日本の大学が増えていますが、それって北米の大学の日本分校とやっていることは同じですよね。

英語圏での大学では、英語で授業するのでTOEFL iBTなどのスピーキングを含んだテストで事前に英語力をチェックします。つまり、クラスを受講するレベルの英語力がある学生だけが入学できるのです。

英語圏への語学留学も、日本母語者はあまりうまくいっていません。英語習得のポイントは日本語と英語のズレですが、英語プログラムのネイティブの先生はそれを知らないし、テキストも当然それらの重要ポイントはカバーしてありません。要するに、英語の洪水の中でポイントが分からないまま生活をすることになります。

そういった過去の失敗から学ばないで、最近は「グローバル人材育成」云々のプログラムなど、過去の焼き直し的プログラムが多すぎます。

米原先生

-2000年代の英語教育の取り組み

2000年代にはSELHi、つまりスーパーイングリッシュランゲージハイスクールが指定されました。取り組みの大きな目的のひとつは、恵まれた英語教育環境を現場に与えて、実践的な教材やカリキュラム、ティーチングメソッドの開発を行い、他の高校にも波及させていくというものです。しかし結果は、そのシェアされるべき開発されたものはどこにあるのか、という結果に終わっています。生徒の英語力も「スーパーイングリッシュ」から程遠いものでした。

中学もそうですが、高校の英語教育を変えることは非常に難しいことは、この例からでも明らかです。ネイティブの先生をもっと導入すれば良い、英語でクラスを行えば良い、といった単純なものでは決してないと思います。問題は、ネイティブの先生を使うにしても、英語でクラスを行うにしても、実効性のあるやり方であるかどうかでしょう。そう言うクラスにしていらっしゃる英語の先生はいらっしゃると思いますが。要するにメソッド、アプローチなのです。アメリカ発のJアプローチは、ネイティブの使い方からターゲット言語の使い方まで、科学的根拠があり非常に合理的で、実績も申し分ありません。成功例を参考にするのが一番の近道だと思います。

言語プログラムの重要な3つの要素

言語プログラムには重要な要素が3つあります。一つ目は目標設定で、二つ目は、その目標に到達するための教材やクラス活動、宿題などのクラス外活動であるカリキュラムです。そして三つ目は、その評価、つまりテストです。究極の評価が入試ですね。この3つは一体となっています。定期的な評価でカリキュラムが上手く機能しているか分かり、具体的な問題点も分かります。問題点が分かれば、教え方などカリキュラムの改良を行えます。

目標の設定は、大まかな形として『学習指導要領』にありますが(その目標のリアリティー不足はここでは触れません)、英語の4スキルの習得レベルを上げることです。英文読解が中心にはなってはいません。つまり、スピーキングを含めたオーラル英語の評価も行う必要があります。

一方、究極の評価であるセンター試験や大学入試はリーディングが中心で、スピーキングの評価はありません。英語のクラスのタイトルやセンター試験のタイトルが「コミュニケーション英語」や「英語表現」となっていても、です。

そうすると、英語教育の「目標」とその「評価」が著しく異なっているので、その中間にあるカリキュラムが大混乱を起こす感じになります。

今現在2020年に新センター試験にスピーキングを導入するかどうか議論が行われています。英語教育の「目標」「カリキュラム」「評価(テスト)」を一貫性のあるものにするためです。

米原先生

英語の4技能試は東大から導入すべき

私は大学入試への4技能試験(注1)の導入にはもちろん大賛成です。スピーキングのクラス活動を何年行っても、評価、つまりテストをしないままであれば生徒の英語は片言のままで終わりだからです。例えば、評価しないまま英語のリーディングを扱えば、生徒のリーディング力も相当悲惨なことになるのは目に見えていますが、それと同じです。

センター試験や大学ごとの英語の入試にスピーキングを入れ、スピーキングの入らない英語の試験は廃止すべきだと思いますが(スピーキング抜きの試験も受験可能にすると、ほとんどの生徒はスピーキング込みの試験は受けない、よって学校や塾は今まで通りリーディング中心に教えていても構わないということになります)、こういった大掛かりな変更は途中でポシャル可能性が大きいと思います。インフラ整備の困難さや「現場の混乱」を理由に、スピーキング導入を断念するか良くて先延ばしされるだけかもしれません。スピーキングを英語教育により実効性のある形で入れている韓国でさえ、大学入試(NEAT)にスピーキングを導入する試みに失敗しました。

多くの識者も言っていることですが、日本の英語教育を4スキル型に変えるための実効的な方法は、東大に英語の4技能試験を導入することです。TOEFL iBTのような外部試験でも構いませんが。

他の大学ではダメです。例えばA大学が4技能試験を導入しても、受験生は他の大学へ逃げてしまいます。なぜなら、同じレベルのB大学を受験すれば良いだけの話ですからね。そして、そのA大学の入試にスピーキングが導入されたからといって、高校や塾の英語教育が4スキル型へ変化するはずはありません。
圧倒的な数の大学はリーディング中心の試験を行っているので。

4技能型外部試験を導入している大学がチラホラ出て来ていますが、一部の学部の一部の定員だったりします。インターの学生や帰国子女には有利ですが、従来型のテストと併用ですので、一般の受験生にはほとんど影響はありません。つまり、高校や塾の英語教育にはほとんど影響はないということです。

しかし、東大の場合はA大学のようにはなりません。東大に何としても入りたい高校生は、スピーキングをテストに課されても頑張って勉強してほぼ必ず東大の試験を受けに来ます。東大の合格率を上げたいと真剣に考え続けているしかるべき進学校や塾の英語教育にも大きな変化が訪れます。

スピーキングを実効性のある形でカバーすると、韓国や他のアジアの国々がそうであったように、読み書きのスキルのレベルも上がることに気が付きます。読解法がいかに非効率なやり方で、非常に低いレベルの読み能力に抑えられていたことに気が付きます。すると、京大など他大学も東大に追従し、全国の大学に波及して行きます。

東大自身が入試をスピーキングのあるものに変えるかどうかですが、それは分かりません。東大で英語のクラスを履修すると、読みでさえ英語力が落ちる、とよく聞きますので望み薄なのかもしれません。ただし、東大はスーパーグローバル大学のトップ校に指定され、逆にTimes Higher Educationの世界大学ランキングで大幅に順位を落としていますが(アジアでトップを維持していたが、今年は3位に。そして、日本の他大学も軒並み順位を大幅に落としている)、それで目が覚め、実際に英語の運用能力の高い生徒を取るために入試改革を行えるかどうかですね。

(注1)2016年度の入試では、一部の大学が4技能試験を導入しています。詳しくは「4技能試験ニュース」をご覧ください。

米原先生
英語学習者にしてメッセージ

日本の英語教育はリーディングに極端に偏重していて、スピーキングの練習をする際にもリーディングを基盤とする学習者が多いですね。例えば音読です。音読は口慣らしには優れたメソッドかもしれませんが、スピーキングの本質は、状況に合わせて自分の脳と口を使って英語をクリエイトすることです。音読は人の書いたものをそのまま読むだけです。シャドーイングも同様で、人に言った英語をそのままリピートするだけですね。

ですので、話したり書いたりの英語でのコミュニケーション能力を高めるためには、状況に合わせての瞬間的な声に出しての英作作業が必要です。音読やシャドーイングは、あくまでもその瞬間的な英作のための補助練習です。

ただし、瞬間的な英作は今幾分流行りではありますが、易しくするあまりほとんど英語のポイントの説明がありません。英語は日本語母語者には非常にチャレンジングな外国語で(我々英語教師でさえ習得には大変苦労します)、相応の込み入った説明の理解が必要です。単に表面的に瞬間的な英作の練習をするだけであれば、理解の浅い分覚えにくく、応用が利きません。アトランダムな数字を覚えるのに近いからです。

もう一つの問題は、売れ筋の瞬間的な英作の作業本はおおむねセンテンスが少な過ぎることです。海外のドラマや映画などを見てわかるように「日常英会話」は広くて深いのです。初級のサバイバルイングリッシュレベルではなく、日常英会話を学習目標とするのであれば、相応の量の瞬間的な英作作業が必要です。例えば、日本の首都圏の鉄道網は細かく張り巡らせされており、移動の自由度はかなりありますが、その鉄道路線が10分の1になったら途端に移動の自由度は激減します。英語のコミュニケーションの自由度も同様です。限られた英語表現だと、英会話やメールで、しょっちゅう英語表現に行き詰まることになります。

で、効果的な英語教材の特徴をまとめると、瞬間的な英作の出来るもの。ただし、難言語相応にグラマーの説明の細かいもの。理解の浅い英語は脳から落ちやすくなります。そして、日常英会話は広くて深いので相応の量の英語表現のあること、ということになります。こういった骨太の教材を使って繰り返します。「繰り返し」が全てのスキルの習得の極意です。覚えては忘れの、「教材取っ替え引っ換え法」ではやらないことです。

 

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