「海外留学は将来のキャリアに有益です!異国の地に身を置き、言語の壁を超え、積極的に物事に取り組むバイタリティと目標達成意欲は今後のグローバル人材に必要な要素として企業から高く評価をされています!」
そう話してくれたのは、マイナビ国際派就職の増田 ゆうこさんです。とはいえ、海外留学って何かと不安が多いですよね。
そこで本記事では
「海外留学って将来のキャリアにどのように影響してくるの?」
「海外留学生はどうやって就活すればいいの?」
という疑問を解決すべく、オーストラリア大使館商務部とマイナビ国際派就職のご担当者にお話を聞いてきました!
登場人物紹介
オーストラリア大使館 主席商務官 市川 智子さん(写真左)
日本の大学時代に1年間オーストラリア・アデレードのフリンダース大学に交換留学。その後クイーンズランド工科大学に大学院留学し、計3年間オーストラリアで学生生活を過ごす。卒業後は民間の英語教育連企業を経て、2004年よりオーストラリア大使館にて、オーストラリア留学のプロモーションや日豪の教育機関間の提携サポートに従事している。(2019年現在転職済み)
マイナビ国際派就職の増田 ゆうこ さん(写真中央)
大学時代、就職活動を前に自身の可能性を探るため、オーストラリアのタスマニアで1年間JATSプログラムに参加し、日本語教師のアシスタントを体験。現在は「マイナビ国際派就職」広報職でグローバルキャリアサポーターとして海外留学生の就職活動をサポートを行う。年の3分の1は、アメリア、イギリス、オーストラリア、カナダ、韓国など、海外で業務にあたる。
オーストラリア大使館 商務官 梅原 萌 さん(写真右)
高校時、オーストラリア・アデレードに1年交換留学。それ以来、第2の故郷となった大好きなオーストラリアに関わる仕事がしたく、2度の転職を経て2016年に大使館に入館。市川さんと同様、主な業務はオーストラリア留学のプロモーション活動、オーストラリアの教育機関の日本進出のサポートなど。
海外留学経験をキャリアに活かす方法
「海外留学」は就職活動やその後のキャリアでどのように活きてきますか?
増田さん:就職活動で「海外留学に行きました」という経歴だけで就職活動を有利に進められる時代は既に終わりました。企業が期待しているのは、適応能力が必要とされる異国の地に身を置き、言語の壁を超え、積極的に物事に取り組む問題解決能力と目標達成意識です。すなわち「経歴」としての留学ではなく、「経験」としての留学を意味します。
また、企業側が知りたいことは「なぜ海外留学に行ったか?」です。この質問の背景には、どんな目的意識をもって、海外で学んできたかを評価したい企業側の思惑があります。
海外志向が強い学生が増えてきているんでしょうか?
増田さん:世間的には海外志向が強い学生が増えているように思われがちなんですが、実は海外に出たくないという学生が国内には多いのです。マイナビで行ったアンケートでは「海外駐在を言い渡されたら、行けますか?」という質問に対し、50%以上が「行きたくない」と回答しました。どちらかと言えば、海外志向は低下傾向あるととれます。
そうなると、海外留学にチャレンジする学生数も減ってきているでしょうか?
梅原さん:日本人の語学留学生数は中国人に続き第2位で、語学留学生数は伸びています。学位取得を目的とした留学生の数も微増ではありますが、伸びているのです。数は伸びているものの、2017年の学生ビザのデータを見ると、学位取得を目的とした日本人留学生数は1500名で、まだ少ないことが現状です。
なぜ海外留学に踏み切れない学生が多いのでしょうか?
増田さん:大きく分けて、問題は2つあるかと思います。1つは、やはり「就職」ですね。日本国内の新卒採用は、ある程度固定されたスケジュールで行われます。利点は、決まったシーズンに多くの企業が採用活動を行うので効率よく就活を進められることですね。しかし欠点としては、就活シーズンに就職活動を行えないと、取り残されて就職難民となってしまうことです。特にこの問題は、日本人留学生にとっては悩ましいことです。
もう1つは、金銭的な問題です。今は学生が奨学金を借りているケースが多いので、お金の掛かる海外留学よりも、日本の大学を卒業して就職し、奨学金を返すことに意識がいくのでしょう。
2つの問題を総合的に見ても、1年に1度しかない就職活動のチャンスを逃してまで海外留学に行こうとならないのは理解できますね。
少しネガティブになってしまいましたが、留学生は海外に居ながらも就職活動をすることは充分に可能です!それに、先程も申し上げたように、企業も海外留学経験者を欲しています。現に、多くの企業が海外での採用活動に力を入れています。
海外留学生のための就職活動の流れ
海外留学生はどうやって日本での就活にアプローチしたら良いのでしょうか?
増田さん:まず第1に、業界研究や自己分析、興味のある企業の情報収集をなるべく早い段階から行うことです。帰国後にバタバタしないようにしましょう。これはみなさんも、耳にタコができるくらい聞いてきたことですよね(笑)。でも、とても重要です!留学が決まったら、出発前から企業にコンタクトを取ってみるなど、アプローチや情報収集の仕方は多くあります。
本格的な就職活動を留学中に行うことは可能ですか?
増田さん:もちろん可能です。代表的な方法は3つあるので、1つずつ紹介しますね。
①日本で開かれる短期型の就活イベント
海外大学の学期の切れ目となり日本に一時帰国し易い6月や12月頃に、海外留学生や留学経験者を対象に開かれます。
マイナビでは「マイナビ国際派就職EXPO」という就活イベントを年に2回開催しており、200~300社が出展して採用活動を行っています。メリットはスピード感です。その場で内定もしくはエントリーから1週間以内に内定までたどり着けるケースもあります。
②海外で開かれる短期型の就活イベント
マイナビではシドニーやニューヨークで年1回開催しています。
③オンラインで行う就職活動
エントリー、面接、内定獲得までをすべてウェブで行う就職活動です。メリットは、日本の就活シーズンに関係なく、基本的に通年応募できることです。就活イベントのために帰国できない学生にとって大変便利な方法です。
近年では、エントリーや企業セミナーはウェブ上で行われることが多いです。その上で、各国に企業さんが来て選考をしてくれる機会は意外と多くあります。
就活イベントは約3ヵ月前からウェブエントリーが始まりますので、常に就活のアンテナを立てて起きましょう。
ちなみにこちらがオーストラリア・ニュージーランドの就活スケジュールの一例です。
こちらも一緒にチェックしてくださいね!「マイナビ国際派就職 就職スケジュール」
増田さん:就職活動の機会は多くあるのにもかかわらず、就活全体のスケジュールやアプローチに方法をあまり熟知していない学生がいる印象を受けます。
留学に旅立つ前からその後のキャリアをイメージし、留学を通じて得る経験やスキルをどのようにキャリアに活かすか逆算して考えることが大切です。
企業が求める「グローバル人材」とは
海外留学経験をどのように企業にアピールすれば良いのでしょうか?
市川さん:「海外留学で培った経験やスキルがどのように活きているか」をストーリーで伝えることが重要です。「TOEIC L&R ○○点取得!」「学位取った!」「論文書いた!」という実績だけを並べても、あなたがどういう人なのかは企業に伝わりません。
もちろん、論文の執筆や学位取得が素晴らしい実績である事実は企業も理解しています。しかし、企業側が知りたいのは、そういった成果を上げるために「何をどうやって工夫し、達成したか」であり、それによってあなたの将来の可能性を知りたいのです。
ここにいる皆さん海外留学経験をお持ちですが、留学経験は実務に活かせてますか?
市川さん:私は大学院でオーストラリアに留学しました。日本の大学時代から英語を活かしてコミュニケーションに関わる仕事につきたいとぼんやり思っていたのですが、具体的な仕事のイメージまではつかめていませんでした。
そこで、オーストラリアの大学院では、コースワーク(科目履修)で修士号を取れる課程を選択し、広報(パブリックリレーションズ)を専攻しました。コースワークの魅力は専門外の科目も学べる点です。他専攻のマーケティングの科目の履修をしたことで、今後のキャリアで追及したい専門分野と出会えました。
日本の大学院は専門性を追求する研究型ですが、オーストラリアの修士課程は学部での学びを発展させるために新たな分野を学ぶこともでき、就職をする前に、じっくりと自分の専門性を見極め磨きたいという方にもおすすめです。
梅原さん:私は高校でオーストラリアに留学しました。大学4年生の就活では、とにかく「英語を使って働きたい」「オーストラリアと関わる仕事をしたい」という思いだけに突き動かされ、オーストラリアに支社のある企業を片っ端から受けていたのを覚えています。その後、転職も経験しました。
キャリアに悩む中で、前職の同期に「梅原が英語を使えればハッピー、それで社会に価値は生まれるの?英語が使いたいってところだけ満たされていて、○○な価値を提供したい、っていう○○が抜けているから苦しいんじゃないの?」と言われ、はっとしました。
英語はツールとよく言われますが、英語を使うことが仕事のゴールではないので、その先にある、どんな価値を社会に提供できる仕事をしたいのか、を考えることが大切だな、と実体験から思います。そんな視野も持ちながら、留学生活を送られるといいかもしれません。
まとめ
海外留学生がすべき就職活動のアプローチの仕方だけでなく、海外留学をキャリアに繋げるための学生生活のコツなど、留学を検討している学生にとってはとても貴重なお話を聞くことができました。ぜひキャリアを見越した海外留学にチャレンジしてください!
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