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教育者インタビュー

テンプル大学日本校加藤副学長に聞く、生の国際感覚が身につく環境とは

2017.02.09

テンプル大学ジャパンキャンパス (Temple University, Japan Campus / TUJ )とは、アメリカのペンシルベニア州立の総合大学の日本校*であり、1982年東京に開校し、翌1983年、日本で初めてアメリカの大学教育を提供する場として、大学学部課程が誕生しました。現在は大学学部課程、大学院課程(大学院教育学研究科、ロースクール、エグゼクティブMBAプログラム)及び学位取得を目的としないアカデミック・イングリッシュ・プログラム、生涯教育プログラム、企業内教育プログラムを提供しています。今回は、日本にいながらにして、アメリカ本校と同じ教育を受けることのできるテンプル大学ジャパンキャンパスの加藤智恵副学長にテンプル大学の特徴とメリットなどについてインタビューしました。

*文部科学省が指定する「外国大学の日本校」として、卒業生には日本の大学院への入学資格が認められています。

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テンプル大学
ジャパンキャンパス

上級副学長兼エンロールメント
マネージメント担当副学長

 

加藤智恵 様

 

−テンプル大学はどんな性格の大学ですか?

テンプル大学は、フィラデルフィア州の州立大学です。非常に大きな大学で、4万人ほどの学生がおり、専攻の数も多い大学です。日本の大学に例えると早稲田大学と同じくらいの規模です。アメリカには約4,000校の大学がありますが、その中でも30番目くらいの規模で、創立130年を越すリベラルアーツ(教養教育)を実践する大学です。そんなテンプル大学が日本に来て、今年で35年になります。「Oldest and largest foreign university in Japan ~日本で最も古く、最も規模の大きな海外大学〜」とキャッチフレーズをつけています。

テンプルという名前から、「お寺の大学なの?」という風に思われる方もいらっしゃるかと思いますが、宗教とは全く関係がありません。大学の名前の由来は、テンプル大学の前身となった夜間学校―この学校は、弁護士であり、また牧師でもあったラッセン・コンウェル氏が高等教育を広く一般市民に提供する場として開いた学校ですが―、その授業がバプティストテンプル(教会)で行われていたことにちなんでいて、その後大学として組織された際に教育の場を提供してくれた教会に敬意を表してテンプル大学と命名したものです。

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(Temple University, Philadelphia Campusの様子)

−なぜ日本校を設立したのですか?

1970年代後半〜80年代にかけては、高校生人口も多く大学の受験戦争が非常に激しい時期で、留学を希望する学生も多くいました。そういった状況の中で新しい選択肢のひとつとして日本の教育者や政治家、ビジネスマンで構成されたあるグループから開校の招致を受けました。それが外国大学日本校第一号としての設立のきっかけでした。

本学開校後、海外から多くの大学が来て日本校を次々と設立しましたが、学生の確保を目的として日本校を設立した大学が大半であったため、当時のような受験競争がなくなり、思ったように学生が集まらなくなった現在は、多くの大学が閉校してしまいました。しかし、テンプル大学はそのような目的で日本校を設立したのではありません。アメリカ本校としては、本校の学生に留学の機会を与え、異なる環境で勉強ができるチャンスを与えるという考えがあったのでしょう。現在でも、毎学期本校から50~100人の留学生が来ています。このようにアメリカ本校のグローバル化の一環として、日本校の運営を継続しています。またテンプル大学は日本だけでなく、先にローマ校も設立(昨年50周年を迎えた)しており、アメリカ本校の学生が留学できる環境を複数整えています。グローバルなイメージの強いアメリカですが、実はどこの大学でも教室内にインターナショナルな環境が十分あるわけではありません。様々な人種の人が混在しているアメリカですが、外国で生まれ教育を受けて来たといういわゆる外国人留学生はそう多くないのです。

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(東京・港区 TUJ麻布校舎)

-日本のさまざまな大学と協定を結んでいますが、どのような狙いからですか?

私たちは日本の高等教育国際化にもさらに貢献したいと考えています。そのため、日本の大学とも協定を結び、単位交換制度などを通じて相互の学生の学びの環境を作ってきました。

また、本学外国人の学生の中に「日本の大学にいってみたい」「日本の学生や先生と一緒に日本語で学びたい」という思いを持つ学生もいます。日本語が理解できる外国人学生にとっては日本の大学の授業を受講できる環境があるということは非常に良いことです。

もちろん、日本人学生にとっても大学交流は良い経験となります。ある学生が日本の協定校の授業を受講していたのですが、教授が熱心にご指導くださったことで、2学期も続けて受講することを決めた例もありました。日本人学生にとっても、学びを広げるよい機会となっています。

−在学する学生の外国人と日本人の比率はどのくらいですか?

現在は外国人と日本人の割合が6:4です。以前は日本人が多く在籍していましたが、2005年に文部科学省より海外大学日本校として指定されたことで、学生ビザをスポンサーできるようになり、外国人学生、特にアメリカ人学生が多くなりました。学生ビザがスポンサーできなかった頃は、大使館のお子さんや国際企業に勤めるエグゼクティブのお子さんなど、既にビザを持つ限られた学生しか通えなかったため、外国人学生は全体の約20%でした。しかし、授業内容も単位もアメリカ本校と変わらないのに、学生ビザを取得できず、外国人学生を受け入れることができないのはおかしいということで文部科学省に長年掛け合った結果、現在は「外国大学日本校」の指定制度を通じてビザのスポンサーが認められ、約世界60か国出身の外国人学生が通っています。

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−在学する日本人学生の英語力はどのくらいくらいなのでしょうか?

正規入学基準として、TOEFL iBT 71点以上、TOEFL PBT 525点以上、IELTS 6.0以上、PTE 50点以上というスコアを設けているため、最低でもこのレベルの英語力がある学生が出願しています。

日本人学生にはインターナショナルスクールに通っていたり、高校留学経験者、帰国子女の方が多くいます。しかし、英語力があるからといってすぐに大学レベルのアカデミックな文章を書くことができたり、建設的なディスカッションができるわけではありません。一方日本で生まれ育ち、国際的な環境がとても好きで英語力をがんばってつけて、本学に通っている学生もいます。英語力以外の正規入学基準を満たしている場合は、学部課程のブリッジプログラム(条件付き入学制度)で3ヶ月〜1年間、アカデミックスキルを学んでもらいます。アメリカの大学では授業についていけず、落第してしまうこともあるので、まずはブリッジプログラムでしっかりとした基礎力をつけて、大学の単位を取れる実力を身につけることが重要だと考えています。 

*ブリッジプログラム(条件付き入学)は、学部の授業を一部受講しながらアカデミックスキルと英語力を強化するプログラムです。

−学生の60%以上が外国人という環境で学べるメリットとは?

多種多様な人種が住むアメリカ本国の大学でさえ、外国人留学生の割合は少ないという状況がありますが、日本の大学の外国人比率はさらに限られています。本学は日本人、アメリカ人、その他の外国人の比率が、40:40:20と、ワールドスタンダードから見ても非常に国際的な大学と言えます。本学の教員からも「アメリカ本国の大学より、TUJの方がインターナショナルだ」という声が上がっています。そんな本学では、世界中の人と肩を並べて学ぶことができる環境があり、また20人規模の少人数クラスをベースとしているため、異なる文化背景を持つ者同士が相互に学びあう場があります。あくまでも英語はツールで、社会に出た時に必要とされるのは、英語を使って何ができるのかです。バックグラウンドの違う人々と学ぶことにより、相手を理解し、深く考え、自分の考えを伝える、新の国際人として活躍できる知識と能力を身につけることができます。

随分前の話ですが、同時多発テロが起きた際に学生が自らお互いの意見交換を行う集会を行いたいと申し出ました。本学には異なるバックグラウンドを持つ学生が多く在籍しているため、大学側は心配しました。しかし学生はとても冷静で、それぞれの立場から意見を出し合い、とても平和的に語り合いました。そして最後には「学生同士が理解し合い、尊重し合う」という結論に至りました。日本人だと遠慮しすぎてしまったり、自分の意見を抑えてしまうこともありますが、黙っているのではなく、コミュニケーションをとることが異なるもの同士と理解し合うには重要です。そんな環境に身を置くことができるのは素晴らしいことだと思います。

−大学卒業後、どのような進路に進む学生が多いのでしょうか?

日本人の学生は英語と日本語両方話すことができて国際的な環境にも慣れています。また、積極性もあり勉強が大変な中、それを乗り越えてきた強い精神力を持つタフな学生が多いため、それぞれが希望する進路に進んでいます。英語を話せて、かつ国際感覚を身につけた人材が企業に求められていると感じます。

外国人の学生も、日本語ができる場合は多くの企業から引き合いがあります。しかし、日本で働きたいという思いを持っているものの、日本語が十分にできない場合は希望の企業や職種に就職することは難しいようです。やはり企業としても、グローバル化と言いつつも外国人を受け入れる環境を整えるのにはまだまだ課題が多いようです。

 

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(毎年6月に東京・港区で行われるTUJの卒業式)

−受験生に向けてメッセージをお願いします。

2020年に向けて大学入試が変わり始め、不安を持つ方が多いと思います。しかし英語力と国際的視野を持ち、創造的分析的思考力とそれを伝えるコミュニケーション力を備えていれば、今後の国際社会で必ず必要とされます。受験を目前にすると難しいかもしれませんが、社会で生きて行く上で必要なスキルを学んで欲しいと思います。

大学は通過点で、本当の人生はその先からスタートします。大学を、最初の仕事につくためのスキルを身につけるだけの場ではなく、その先の人生で何をするにしても、成功するための知識と、その知識が古くなっても新しく吸収することができる能力を身につける場だと考え、勉強してほしいですね。

−編集後記

日本にいながらにして、アメリカの大学と同じ教育を受けることのできるテンプル大学日本校。そこでの学びは、ただ英語を勉強するのではなく、英語をツールとして経済や社会など、さまざまなことを学ぶことを可能にします。また、多くの外国人学生と日常的に関わる環境があり、生の国際感覚を身につけることが出来ます。グローバル化が叫ばれる現代においては、「将来世界を股にかけて活躍したい」と考えている学生だけでなく、自分を大きく成長させたいと考えている学生にも強くオススメしたい大学だと感じました。